ほぼ日刊レトロゲームレイダース

おすすめエンタメ情報&笑い話を発信





?



息子の自主性を伸ばそうと、やることをやったらゲーム時間無制限ルールにしたら、とんでもない結果になった話。

f:id:retrogameraiders:20210314105402j:plain

今週のお題「〇〇からの卒業」 
まあ、タイトルの通りの内容なのですが。『マインクラフト』が大好きな小学生の息子が、「ゲームが1日1時間じゃ何も作れない!」と言ってきたので、実験的にゲーム時間無制限ルールを設けた時の話です。

 


 

 

 

キッカケは、かつて俺が悪口を言いまくったSNSコミュニティの、その所属メンバーの1人のツイート。「小学生の娘に、“やることをやったらゲームは好きなだけやっていい”と言ったら、宿題や勉強を率先してやるようになり、ゲーム時間は増えなかった。自由こそ子供を育てる!」というウソくさい内容のものを見て、「面白そうだな」と思ったことでした。

 

で、

 

ちょうどその頃、息子がニンテンドースイッチの『マインクラフト』で「巨大要塞を作る!」と息巻いており、「ゲームが1日1時間じゃ何も作れない!」と文句を言ってました。そうそう、ウチはゲームは1日1時間ルールです。だもんで、奥さんと相談して、実験的に“やることをやったらゲームは好きなだけやっていい”というルールを適用してみることにしました。息子は大喜びです。

 

約束したことは次のことでした。

 

<ルール>
学校から帰ってきたやることをやったら、寝るまでの残りの時間、好きなだけゲームをやっていい。

<やるべきこと>
・学校の宿題
・塾の宿題
・英語スクールの宿題
・洗濯物と給食セットと連絡帳を出す
・明日の学校の準備をする

 

その結果、どうなったのか。

 

これまでは、学校から帰ってきて「宿題やりたくな~い」と2時間くらいウジウジ言っていた息子が、帰って来るなり学習机に向かい、テキパキと学校の宿題、塾の宿題に取り組むように。勉強もずっとダラダラやっていたのにスピーディーに終わらせるようになり、やるべきことをすっかり片付けて、寝るまでの残りの時間、たっぷりゲームをするようになったのです。おおっ、環境は人を変えるって本当だったんだ。

 

「もっとやりたい!」と思っていたゲーム時間不足からのストレスか、これまではたまによく分からない癇癪を起していた息子。しかし、ゲーム時間が無制限になってから心に余裕が生まれたのか、あらゆることに対して心穏やかになる始末。食べる予定だったオヤツを俺が食べてしまっても「いいよ、いいよ」と笑うほどに。「お父さんとお母さんには長生きしてほしいなぁ」とか言い出し、逆に心配になりました。

 

そんなわけで、「ゲーム時間を増やすと子どもはダメになる」と思われがちですが、実は、心が満たされることによって、いい方向に改善されることもあるのです。子どもをダメにするのは、本当は抑圧と節制なのかもしれませんね。

 

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

 

と思っていたのは、1ヵ月の間ぐらいでした。

 

まず、学校の先生から連絡が来たんですね。「最近、忘れ物が多い。宿題もまじめに取り組んでいるとは思えず、ぐちゃぐちゃに書き散らしているだけ。指定した範囲をすべてやっていないことも多い」。むむっ、これは問題だ。

 

次に塾の先生から連絡が来ました。「最近、宿題をほとんどやってきていない。溜まっているプリントが20枚以上ある。塾でも勉強に集中しているとはいえず、ずっとマインクラフトの設計図を書いている」。げっ、これはまずい。

 

その夜、ウチの奥さんの雷が落ちました。

 

威力はサンダガ級。奥さんは、結婚以来一度も聞いたことがないほどの剣幕で息子を叱り、息子はすべての罪状を認め、リビングの床に正座して、ボロボロと涙を流して泣いていました。奥さんは畳みかけます。そもそもゲーム時間無制限にしてから、息子の振る舞いが気に入らなかった。ご飯はかき込むだけかき込んですぐにゲームをやる。作っている人への敬意がない。何か話しかけても、いつもスイッチに夢中で、ほとんど人の話を聞いていない。セーブのタイミングが悪いと言って、寝る時間は毎日遅くなっている。朝5時に起きてゲームをしている根性も気に入らなかった…などなど。その挙句、実は約束したことをほとんど守っていないだと。はあ、ふざけんな。そして、

 

「約束を守れない人間は、最低の人間だッ!!!」

 

ズゴーーーン!と最大級のサンダガが落ちました。息子を怒りながら、なぜかティファールでお湯を沸かしていた奥さんは、沸騰のメロディが鳴ると、ティファールをガシッと持ち上げ、ニンテンドースイッチのドッグに向かってきます。「スイッチにお湯をかける気だ!」と察した俺は、さすかず奥さんをなだめ、なんとかスイッチお湯かけの刑を阻止。俺の『ゼルダ無双』が当分お預けになっちまうぜ。とはいえ、このまま不問にするわけにはいきません。夫婦間で協議を行なった結果、

 

 ゲーム1ヵ月禁止!

 

というペナルティを息子に課すことにしました。

 

「ゲーム1ヵ月禁止でいいです…」と、涙と鼻水にぐちょぐちょになった顔で答える息子に、奥さんは静かに言います。

 

「お母さんはね、宿題をきちんとやっていなかったことに怒っているんじゃないの。君はきちんと人との約束を守る子だったのに、自分で約束を破っていることを知っていながら、ゲームをやりたいばかりに、お父さんとお母さんに平気でウソをついたことが、とても悲しいの…」

 

その言葉を聞き、「うわわわぁっっ!!」とひときわ大声で泣きだした息子は、ダダダッと階段をあがって寝室のある3階に駆けていきました。奥さんが涙目で俺を見ながら首をクイッとします。お前がフォローしろってことですね。了解です。俺はトントントンと階段をあがって寝室へ。ベッドの上に布団の塊があり、その中から息子の鳴き声が聞こえます。俺はしずかに近づき、布団の中の息子に話しかけます。

 

「お父さんもお母さんも、お前がウソをついて平気な子だなんて、本当は思っていないよ。約束だってきちんと守る子だってことも知ってる。宿題をいい加減にしちゃう子でないことも知ってる。でも、ゲームがやりたい気持ちが強くて、たまたま雑にやっちゃったり。本当に宿題範囲を間違えちゃったりして。そんなのが少しずつ溜まっていっちゃったんじゃないの?」

 

布団の塊がコクンと頷いた。

 

「本当は、溜まっていた宿題はやらなきゃいけないって分かっているし、約束していることはきちんとやらないといけないことも分かっていたんだよな?でも、ゲームで遊びたい気持ちも強くて、ついつい後回しにしてしまったんじゃないかい?」

 

布団の塊が再びコクンと頷いた。

 

「悪気はなかったんだよな?」

 

布団の塊がコクンコクンと頷いた。

 

「悪気はなかったとしても、結果として、君はお父さんとお母さんとの約束を破ってしまったのは事実だし。ウソをついたことになるのも事実だよね。やってしまったことは仕方がない。大切なのは、その後に何をするかだとお父さんは思う。君は自分は何をしなければならないと思う?」

 

「・・・・・」布団の塊はしばらく沈黙した後、「約束を…守れる子だってことを…伝える…」と答えました。

 

「そうだね。ゲームをひと月できないのはつらいことだと思うけど、新しい約束事でもある。これを守れるかい?」

 

布団の塊は大きくコクンと頷きました。

 

布団の塊をそのままベッドに寝かせて、俺は寝室の灯りを消して部屋を出ていこうとすると、布団の塊が言いました。「お父さん、ありがとう…」。なに、いいってことですよ。

 

というわけで、

 

息子の自主性を伸ばそうとやることをやったらゲーム時間無制限ルールにした結果、忘れ物は増えるわ、宿題は雑になるわ、勉強はちゃんとやらなくなるわ、寝る時間は遅くなるわ、親とのコミュニケーションはなくなるわ、約束は破るわ、ウソはつくわと、悪いことばかりが起きたという結果になりました。

 

ゲームブログを運営している身ですが、ゲームは毒だと思っています。もちろん、楽しい娯楽ではあるものの、用法用量を守らないと、自制心の利かない子どもに対しては大きな悪影響になり得ると。もちろん、子ども次第のところもありますが、あらためてゲームって怖い一面もあるなぁと思いました。その一方で、俺は子どもが何かに集中するという経験は良いものだと思うので、ゲームは悪いところだけではないと思っています。

 

今回、ウチの息子はこういう事態になってしまったのですが、良かったこともありました。それは息子自身が、「僕はゲームを無制限に遊べるようになると、きちんとやらなきゃいけないこともやらなくなってしまう。そういうのは本当に嫌だから、ゲームの時間は前みたいに1日1時間でいい」と言い出したこと。特に感心したのは、だらしないことになるという自覚ができたことと、それを良しと思わない意志が明確になったことです。たぶん、これは、一度、こういう経験をしなければ感じられなかったことでしょう。大切な学びなんじゃないかなぁと思いました。

 

かくして、息子は1ヵ月ゲーム禁止となりました。

 

学校から帰ってきて、すぐに学習机に向かい、学校と塾の宿題をすませる。終わったら明日の準備を行なう。あまった時間は、図書館で借りてきた本を読んだり、ノートに絵を描いたり、外に遊びに行ったり。ご飯もゆっくり食べるようになり、親子の会話も増えました。息子は言います。

 

「ゲームをやっていると、ゲーム画面ばかり見てしまうから、まわりのことが見えなくなってしまう。でも、世界にはいろんなキレイなものや面白いものが他にもあるってことが分かった気がするよ」

 

と、聖人君主みたいなことを言い出したので、奥さんと二人でアイコンタクトで、「ゲームやらなさすぎて、アタマおかしくなっちゃったんじゃないか?」と、すこし心配になりました。

 

ある日、息子が学校から帰って、宿題を済ませた後、友達たちと遊びに行くと言います。相手は、ゲーム大好きな子たちとのこと。リモートワークで家にいた俺はたまたまその場に居合わせたので聞きました。「君、ゲーム禁止期間中だろ?友達と何して遊ぶの?」と。すると息子はクルリとふり返って、顔をキラキラさせて言います。

 

「大丈夫!僕、ニンテンドースイッチの画面を持つ係だから!」

 

どうやら息子がゲーム禁止なのを知った友達たちは、それでもウチの息子と同じ時間を共有したかったのか、公園でスイッチで遊ぶ際に、友達たちはジョイコンを持ち、ウチの息子にスイッチの画面を持たせて、遊んでいるそう。

 

「それってパシリ…」と言いかけましたが、本人が納得しているみたいだし、楽しそうだし、友達たちのことを知っているけど悪い子たちじゃないので、まあいいかと思いました。

 

そんなわけで、息子が何かから卒業したというお話でした。