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人は常に「呪いの言葉」にまみれて生きている話

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今週のお題「鍋」 

寒い日の食べ物は鍋が一番であり、鍋をつつくことで作られる人間関係もあるわけですが、新型コロナウィルスのせいで鍋はみんなで食べられるものではなくなっている今日この頃。それでも俺は家族で鍋をつついています。

 


 

言葉というのは粘着性のあるものだと思います。一度それを意識してしまうと、なかなかそれを振り払うことができない。気にしていないつもりでも、無意識化で認識してしまっている。まさに「呪い」となって付きまとう一面を秘めていると思うわけです。

 

俺はずっと、自分には営業職は向いていないと思っていました。就職活動の時、営業職の仕事内容を聞いても、OB訪問で営業の話を聞いても、「やっぱり向いていないなー」という感想だったんですね。ところが、以前いた会社で能力適性検査を行なったところ、現在やっているクリエイティブ系の仕事よりも営業への適性のほうが高かったという出来事がありました。

 

ふり返ってみると、クリエイティブの人間として営業さんに同行した商談で、俺が発言をしたものは大抵受注ができていたということがあります。そのときは、営業と違ってクリエイティブの人間の言葉は売る気がないので相手に響きやすいの法則だと思っていたのですが。ついこの間も、オンラインで商談を行なった際に俺のプレゼンテーションで商談が決まったということもあり、俺の中で「自分が敏腕営業だなんて思わないけど、まったくできない苦手分野ではないのかもしれない」と考えをあらためるようになりました。

 

という話を家族で鍋をつついている時に奥さんに話をしたら、「ジョーンズくんは営業に向いていると思うよ。話を聞いていると、こちらのニーズを把握した上での提案をしてくれるから、聞いた後は断る理由がなくなっちゃうことが多くて。どうして営業やらないんだろうと思っていた」とのこと。俺自身が思っているほど「営業が苦手」とは思われていないようです。まあ、もちろん、営業という仕事は奥の浅いものではないし、これだけの実績で適性が実証されるものでもないと思いますが、俺が注目したのは、「なぜ俺は、やってみないと分からない営業という仕事の適性についてこんなにも苦手意識を持っているのだろう?」ということでした。

 

そして、父親と母親の影響かもな―と思い至ったのです。

 

俺の父と母は悪い人ではないのですが、やはり昭和的な人柄と教育方針を持っていた人たちで、「決めつける」「否定から入る」というところが多かった気がします。なので、「営業は難しい」「営業は大変」という会話がいつも食卓では交わされていましたし、俺に対して「お前は営業には向いていない」「お前は営業をやったら大変な思いをする」「営業はお前ができる仕事ではない」とよく言われていたことを思い出しました。就職活動をするよりももっと幼いころからずっと。自分では、まったく記憶になかったのですが、この言葉が自分の中で思い込みを作ってしまい、自分は「営業には向いていない」と決めつけていたのかもしれません。

 

だとしたら、この思い込みのせいで俺は人生の数多くの選択肢を自分で消してしまっていたかもしれないと思うと、なんだか恐くなりますね。

 

こんな風に、俺たちは浴びせられたちよっとした言葉を、意外と覚えていて、その影響を受けて生きているのだと思います。それは、「お前は人を不幸せにする」だったり、「本当に使えない人間だな」だったり、「またお前か」だったり、「チン〇ン小さいのね」だったり、「こんなのはじめて」だったり、「君は優しすぎるよ」だったり、「最後はいつも決めますね」だったり。誰かに投げかけられたそんな言葉が脳にこびりついて、いつの間にかそういうものだと思い込んでしまっているのでしょう。

 

汚ねえ掘っ立て小屋みたいなラーメン屋だなぁと思っているお店も、「〇〇ラーメングランプリの優勝店で、あのラーメン評論家も絶賛している、知る人ぞ知る店」という情報を聞いたら、掘っ立て小屋もお店の外観よりも味にこだわっている証みたいに見方が変わってくるように。情報が脳に与える影響は大きいし、一度言われたことは意外と残っているものなんだろうなと思いました。

 

だから、食べた後はきちんと奥さんに言おうと思いました。「今日もおいしかったよ。ありがとう」。いつも思っているし、あえて口に出すことはないようにも思えることですが、たぶん、この感謝の気持ちはきちんと伝えたほうが大切な気がします。どうせこびりつく言葉なら、呪いの言葉ではなく感謝の言葉であるほうが、相手も、自分も、それを見て聞いている子どもも、幸せになるものだと思います。