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すでに終わったと思ったモンスタークライアント案件が、実はまだ続いていて、落ち着いて鍋を食べたい話。

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今週のお題「鍋」 

恐怖である!

このブログでも何回か取り上げたモンスタークライアント・さわやかさんの案件が終わっていなかったのです。あの仕事が手離れしてから、他の仕事がスイスイ進んで絶好調だったのに、なんだか暗い影が立ち込めてきた気がする今日この頃です。

 


 

実は、ずいぶん前から、ちょっと手ごわそうな仕事に関わっていまして。今年の初詣も「その案件が無事に終わりますように!」と祈っていたくらい、俺の脳みそのキャパシティを奪っていた案件がありました。その詳細は下記(↓)の記事をご覧ください。

 

retrogameraiders.hatenablog.com

 

こちら(↓)はその続き。

retrogameraiders.hatenablog.com

 

 これで、この話は終わったかに思われたのですが、実は続いていたというのが今回の話です。とはいえ、後味の悪いエピローグといった期待値でお読みいただければと思います。

 

この仕事は、社内に持ち帰って反省会が開かれることになりました。内容は、今後同じようなことが起きないように、何が問題だったのかを洗い出すという会です。前の会社だったら、上司による激詰めの中で自分の反省点(かどうかも分からないことを自分のせいとして語る)を絞り出す地獄のような会が待ち受けていたのですが、今の会社は上層部がクレバーなので、そんなこともなく、話し合いは改善点抽出という方向で進められました。

 

結果、(1)受注の段階でクライアントが求めるモノがどういうものか分からない状態で引き受けてしまったこと、(2)作業範囲や納期をきちんと文章化せず、契約書にも記載せずに進めてしまっていたこと、ということが話はまとめられ、直接お客様とやり取りをしていた俺の責任というよりも、その前段階の受注時の営業責任、それに認可してしまった制作上長責任がやや多めの結論に至りました。

 

俺は基本的にお咎めなく、むしろ「大変でしたね…」と労われた結果だったのですが、俺は俺なりに反省点がありました。

 

それは、編集者としてクライアントに寄り添うことを意識しすぎて、なるべく意向に沿うように動きすぎていたなぁと。本来なら1週間かかりそうな仕事を2日で仕上げて渡したり(こっちのスケジュールの都合もあったんだけど)。向こうの要望に合わせて制作関係者を集める会を催したり。その1つひとつは小さな親切で、「これくらいだったら動いてもいいかな?」という心持ちでの行動だったんだけど、相手にとってみれば「これくらいのスピードでできるんだ」「言えばやってくれるんだ」と思わせてしまったわけで。「常識の範囲内で分かるだろ」という話なのですが、クリエイティブ系の仕事をしたことがない人が相手の場合、分からないってこともあるんだろうなと。言葉が悪いけど、できないことはできないとハッキリ言うといった「クライアントを躾ける仕事」はきちんとできていなかったと。モンスタークライアントは最初からモンスターだったわけではなく、中途半端にかいがいしく世話をしてしまったことでモンスターに育ててしまったのかなぁと反省していたのです。

 

で、数週間が経ちました。

 

先日、リモートワークで自宅でカタカタと仕事をしていると、社長から電話がかかってきました。例のモンスタークライアント・さわやかさんとの会合の報告です。あの後、社長は、さわやかさんを紹介してくれた経営者の方とさわやかさんとお会いする機会があり、その時に今回の件の謝罪を行なってくれたようなのでした。ところが、

 

「お前、今回は忙しくてモチベーションが上がらないから品質の低い原稿を提出したの?さわやかさん、お前がそう言っていたと言ってたよ」。

 

はあ?

 

社長から聞いたところ、さわやかさんの言い分はそのほとんどが俺にとっては事実ではなく、さわやかさんによって捏造されたものでした。例えば、上記の「今回は忙しくてモチベーションが上がらないから品質の低い原稿を提出した」という件について。あるとき、さわやかさんとのオンライン会議で、「ジョーンズくん、最近忙しいの?」と聞かれてたので「今、複数案件走っているので忙しくなってきましたね」という会話をしました。その時にやり取りしていた原稿はたしかに修正が多かった。でも、それは俺の執筆した部分に問題があったのではなく、さわやかさんが「この内容を追加してくれ」という前回の打ち合わせで言わなかった要望を出してきたので修正が増えたから。「忙しそう」というさわやかさんの心象と「修正が多い」という断片的な事実により、さわやかさんの中で「仕事の質が落ちている」ということになり、「モチベーションが低いから仕事の質が落ちた」ということに変化して、それを事実にするためには相手の口から言ったことにしないと整合性が取れないので「俺が言った」ということにされていたのです。

 

こんな話が全部で9つあったそうで、そのすべてが捏造でした。ひーっ。幸い、ウチの社長は折れのことを信じてくれているので、「話を聞いていて、俺の知っているジョーンズくんの仕事ぶりやキャラクターと違いすぎるから違和感があった。これはどういうことなのか、君の言い分を聞かせてくれ」と言ってくれて、状況を説明すると社長も納得してくれました。

 

人間という生き物は、起こった事実を自分の価値観というフィルターを通して見て解釈をします。ある人Aさんがオシャレなカフェに行った写真をSNSに上げた時、Aさんが「今度、いんちきインスタグラマーっぽい写真をSNSにアップしてみるよー」と話していたBさんがその投稿を見たら「やってるやってる☆」という解釈をしますが、Aさんのことをスカした女と思っているCさんがその投稿を見たら「やっぱりスカしてやがる!マジウゼェ!」という解釈をする。このように、事実は1つしかなくても解釈は無数にあるのがこの世の中というものです。人間が抱く悩みの多くは、この解釈によって生じるものであり、この解釈の違いを話し合いによって解消することで人間関係のもつれの多くは解決できると聞きます。

 

俺は、さわやかさんは「ちょっと思い込みの強い人だなー」くらいに思っていたのですが、実際は「かなり思い込みの激しい人」で、自分の思いを正当化するためについには事実を捏造し始めていたのです。ひーっ。

 

「思考は現実化する」と言ったのはナポレオン・ヒルですが、世の中には自分の思考を現実化に捏造する人種がいます。こういう人は自己愛が強く、自分に不利なことは記憶から一切消去し、「自分が思ったことは事実だった…」と本気で思っているのです。そのあまりにも強すぎる思い込みを持っている人と、昨日の夜に何を食べたかもあやふやな人生を送っている俺のような人間が対峙すると、俺みたいな人間のほうが疑われてしまうこともあるわけで。今回はウチの社長が信じてくれて、本当に心の底から感謝しています。信じられると人は強くなれますね。

 

 

ベンチャー企業に身を置いていて感じるのは、マーケットは闇鍋同然ということですね。付き合う相手を選べないことが多くいです。そして、箸で取ってみただけでは何なのかよく分からなくて、かじってみてはじめてアタリかハズレか分かるみたいな。そんなスリリングさがあります。意識高い系の人にとってはこれも「成長機会!」になるのかもしれませんが、鍋は心のガードを解いてつつくのが美味しく食べるコツであり、そういうステージになるまでがんばらないとなぁと思う今日この頃でした。