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【本のレビュー】『飛ぶ教室 完全版』――34年ぶりに出た続編は懐かしくも新しい『飛ぶ教室』だった!

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小学生だった俺に大きな衝撃を与えた伝説のマンガが、初版発行から34年の月日を経て、続編である第二部を加えた完全版として復活したので買ってみました。

 

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飛ぶ教室』とは

週刊少年ジャンプ1985年5月27日号(第24号)から(第38号)まで15回掲載されたSF漫画です。核戦争ですべてが荒廃した世界で、たまたま学校に設備されていた核シェルターに避難できたことで生き残った122人の小学生たちがたくましく生きていくというストーリー。

 

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絵がすごくポップでギャグも入っているのですが、基本的には、核戦争後の荒廃して誰もいなくなった日本を生き抜いていくサバイバル漫画なんですね。斜めに倒れているビルかと思ったら、先端部分が吹き飛んで地面に突き刺さっているサンシャイン60だったり。水がないからビールで食器を洗っていたり。水がないと冬を越せなくなるので一生懸命に井戸を掘るんだけど、全然水が出てこなかったり。結構、展開がハードなんですよ。

 

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そんな暗い話になりがちな物語を明るくしてくれるのがヒロインのみっちゃん。彼女は主人公のオサムくんにぞっこんで、何かにつけてほっぺにチューしてきたり、たまにお色気シーンがあったりします。

 

暗い話なんですけど、登場する少年少女たちが、生きることに真剣にはなるのですが深刻にはならない感じで、どんなときにも楽しみを見つけて、時には悲しいことに涙を見せつつ、大人がいたらそんなことにはならない純粋さを持ってこの時代を生き抜いていこうという姿勢が、この作品の魅力なんだと思います。

 

週刊少年ジャンプでは15話で連載終了となってしまいました。唯一生き残っていた北川先生(女性教師)が放射線病で死んでしまい、その墓に花を添えて、「僕たちだけでも立派に生きていきます」と宣言し、校舎に戻っていくラストシーンは、物語の締め方としては非常にきれいだったのですが、「こいつたちの続きはどうなるんだよ!?」という思いは、少年だった俺の心にのどに刺さったサカナの骨のように、長い時間、鈍い痛みを発し続けたのでした。

 

それから34年ですよ。

 

まさかの第二部スタート。オサムたち子どもたちだけでのサバイバルの日々が描かれることになりました。

 

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正直、年月がすぎたこともあって、ひらまつつとむ先生の絵柄は少し変わってしまっているのですが、キャラクターたちは34年も月日が経っているとは思えないほど、あの時のままで、いや、あの時の延長として描かれていて安心しました。

 

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「生きるってこういうことだ!」と読者につき付けてくるような展開も健在。この『完全版』には、第二部が3話収録されています。物語は「つづく」というカタチで終わっており、個人的にはとても続編が気になる…いや、オサムたちの今後の生き方がとても気になっています。

 

この完全版、価格が4400円とかなりお高めです。

 

でも、あらためて『飛ぶ教室 第一部』を読んでみて、懐かしいだけではなく、「いい作品だな」と思いました。

 

作者のひらまつつとむ先生は、生活に必要なインフラがある日突然手に入らなくなったら…という恐怖をもとに、この作品を描きはじめたといいます。新型コロナウィルスの蔓延によって、ある日突然世界が変わってしまった時代に、俺たちはいます。こんな時代だからこそ、『飛ぶ教室』という作品のメッセージが妙に心に刺さるのです。

 

90年代から2010年代にかけて、日常系といわれるごく普通の日常を描いた作品がたくさん生まれました。たまには、崩壊した世界の中で細々と、でも力強く生きていく少年少女たちの物語も、いいんじゃないでしょうか。

 

 



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