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【オススメ本】『憑依怪談 無縁仏』(著者:いたこ28号 発行:竹書房)

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20年来の付き合いになる「いたこ28号」さんの単独怪談本が3月29日に発売されましたので買いました。

 

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ちょっと昔話をしますね。

 

いたこ28号さんとはじめて会ったのは、池袋の居酒屋『海峡』だったと記憶しています。その頃の俺は大学生で、いたこ28号さんが運営している怪談サイト『あっちの世界ゾーン』の購読者であり怪談投稿者であり、この『海峡』は『あっちの世界ゾーン』のオフ会でした。

 

当時はまだインターネット黎明期で、エロ画像1枚出すのに2~3分かかっていた時代。インターネット初心者向けの雑誌が何冊も出ていて、「世の中にはこんな面白いサイトがある!」というのを雑誌で探していた時代だったんですよ。まだ、検索エンジンは脆弱だったし、2ちゃんねるもなかったですからね(たしか)。で、『あちゃら』(雑誌の名前)だったと思うのですが、その誌面で俺は『あっちの世界ゾーン』の存在を知り、サイトに入り浸っていたのでした。

 

いたこ28号さんが『あっちの世界ゾーン』で書かれている怪談は、数こそ多くはないのですが、インターネット黎明期らしいテキストで魅せる系の怪談で、すげえ面白いんです。まだ青いレモンだった俺は衝撃を受けました。それまでの怪談というと、「これから怖い話をしますよ~」という感じの講談ではじまるものが多かったのですが、いたこ28号さんの怪談は全然違う。場所が幽霊アパートでも廃墟でも心霊スポットでも、関西人らしく必ず「笑い」を入れてきて、文章のテンポもよく、「面白いんだけどすげえ怖い」という独特の怪談だったんです。

 

オフ会でお会いして驚いたのは、ご本人は怪談で書かれている通りの話しかたをする気さくな方だったこと。ニューカマーだった俺にも分け隔てなく接してくれて、オフ会ではサイトに載っていない怪談も披露してくださって、本当に楽しい体験でした。池袋の『海峡』のほかにも、文京区の旅館の大広間で一晩中怪談を語り合う百物語オフとかにも積極的に参加して、どれもこれも楽しい思い出です。

 

オフ会の楽しさに味をしめた俺は、その後いろいろなサイトのオフ会に顔を出し、社会人混浴温泉同好会なるグレーなチャプターにも足をのばすのですが、「オフ会=楽しいもの」ではなく、主宰者とコミュニティによってオフ会は天国にも地獄にもなるんだということを学んでいくのでした。

 

いたこ28号さんの『あっちの世界ゾーン』に影響を受けて、俺は自分のホームページを作り始めます。まだビルダーソフトがなかったので、テキストファイルにカタカタと自分でHTMLを打っていくスタイルです。FTPソフトを使ってサーバー上にファイルを置いて、初めて自分のサイトが世界とつながった時の感動は忘れられません。

 

俺は今、ライティングを生業としているわけですが、そのキッカケは『あっちの世界ゾーン』で怪談を投稿したことでした。それまで「書く」ということにまったく興味がなかった俺が、書くことの楽しさを覚え、書く仕事の会社に入り、書く技術を磨いて、家族を養っているというのは20年前では考えられなかった未来でした。

 

大学を卒業してからは、俺は激務の仕事にばかり就いていたので、昔ほどいたこ28号さんと関わることはなくなってしまったのですが、それでもネットラジオの放送を聞いたり、YouTubeチャンネルに登録させていただき、この間は怪談イベントに話者の1人として呼んでいただいたりと、ファンの1人として活動を応援しています。

 

ここまでが前置き。そして前置きが長い(笑)。

 

そんな俺にとって、今回、いたこ28号さんが出された『憑依怪談 無縁仏』は非常に感慨深いものがあります。いたこ28号さんはこれまで別名義で、竹書房の怪談本にお話を書かれていたりするのですが、そちらは別人っぽいというか、俺の知っているいたこ28号さんらしさを消し去った作風でした。しかし、今回は名義を「いたこ28号」に戻しての刊行ということもあり、いたこ28号さんらしい作風になっています。

 

この本に収録されている話は、『あっちの世界ゾーン』に掲載されている話や、オフ会で聞いた話など、いろいろな時代のいたこ28号さんの話が載っており、20年来のファンである自分としての感想は、1冊でその変遷を見ることができるお得なファンブックといった印象でした。

 

ただ、ですね。本のレビューでありながら本を否定するように聞こえてしまうかもしれませんが、いたこ28号さんの真骨頂は「べしゃり」であり「ライブ」だと俺は思っているんですね。YouTubeチャンネルはぜひチェックしてみてください。

 

そして、怪談本は重版とかあまりないので買い逃すと二度と新品が手に入らないことも珍しくないので、「あり!」と思った人は速攻で買っておくことをオススメします!

 

www.youtube.com

 

 

 



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