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ガンを告知された母が、ダチョウ倶楽部になってしまった話。

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母がガンになりました。早急に手術する必要があるため、造影剤によるCTを受けに行くことに、奥さんと俺は病院に付き添ったのですが…。

 

 

前回、大腸にカメラを入れたとき、ドクターは母には「たぶん異常はないと思いますけど、採ったポリープを検査します」と伝え、付き添った俺の奥さんには「ガンです。早急に手術する必要があります」と伝えていました。

そのため、母は「たぶん、ガンよ」とずっと言っていたのだが、それは俺や奥さんから「そんなことないよ!」「そんなことないですよー」という慰めの報酬をもらうためのポーズで、たぶん、「ガンであってほしくない」と心の底から思っていたのでしょう。

ところが、

担当のドクターがポンコツだったんですね。前回、誰にどういう告知をしたのか、すっかり忘れていて、診察室に入った母に対していきなり強力な先制攻撃を放ちました。

「ガンです。覚悟はできていますね」

母は一縷の望みをファーストブリッドで打ち砕かれることに。お医者さんの言葉への返事が「や、ヤー」とドイツ人みたいになっていたので、完全に動揺しています。そのドクターが、今日は造影剤を使ったCT撮るから朝食は抜いてきて、と前回言っていたのに予約が取れていなくて、いろいろすったもんだがあったのですが、この日は、呼吸の検査と、造影剤を入れたCTをやって終わることに。残りの検査は、数日後に行なうことになりました。

ちなみにお伝えしておくと、簡易検査ではガンの転移は見られなかったため、最悪に悲観的な状況は免れています。そのため、今回の記事はややノー天気なテンションになっているのでご注意を。

 

「私、お腹減ったわ」

家に息子をお留守番させているから長居はできないと伝えた直後、いきなり暗に「メシ食いに行こうぜ」と言い出す母。たぶん、ショックを受けているのだろう、と俺と奥さんは気遣い、遅めのランチを取ることにしました。

「肉が食べたい。いい店を知っている。老人ホームでは、私より牛肉にくわしい人間はいない」

いきなり寺門ジモンみたいなことを言い出した母にナビされ、着いたところは『いきなりステーキ』でした。「いま、話題のお店よ」。大量店舗閉店の話かな?と思いましたが、面倒くさくなりそうだったので黙っていました。

「手術もあるし、たくさん食べなきゃ!400g行こうかな」

と母が言い出し、ウチの奥さんが「お義母さん、食欲ありますねー。私も今日はがっつり言っちゃおうかな♪」と調子を合わせると、急に「どうぞどうぞ」「今日は私が全部出すからじゃんじゃん食べて」と言い出し、なぜか、アンガス牛のサーロインステーキ400gはウチの奥さんが食べることになりました。

肉を食べながら、母は突然語りだします。

「おいしいものを食べていると、こう、生きてる、生きているって感じがする。この現実だけがここにあるのよ」と、『ザ・ノンフィクション』のテーマソング「サンサーラ」みたいなことを言い出したかと思うポロポロと泣き出し、俺と奥さんの手を取って、「ありがとう!ありがとう…!」と順位を上げたAKBみたいに変貌。俺と奥さんは曖昧に笑ってやり過ごしました。

店を出て施設に帰るクルマの中では、「あんまり美味しくなかった。こっちは老人なのに、あんな分厚い肉を出してくる常識を疑う」「責任者は何考えているのかしら」「SNSに書き込んでやる」と、『いきなりステーキ』に対して文句を言ったかというと、今度は沈黙しました。なんか、今日は特に緩急が激しいです。

施設に着いた時、母が言います。

「お前たちにはお前たちの生活がある。私は入院するけど、あまり構わなくていいから、自分たちの生活を最優先に考えて。お見舞いなんか来なくていいから。お見舞い来ないでね。親戚のみんなにも言っておいて」。

分かりました。そして、なぜかプリプリ怒りながら施設に入っていく母を見送り、怒涛の検査1日目は終わったのです。

家に帰ってから、俺は母の状況を伝えなければと、電話帳を開いて、親せきに片っ端から電話しました。すると、全員に母からすでに連絡があり、「見舞いには来なくていい。私がお見舞い嫌いなのは知っているでしょ。いい?絶対にお見舞いに来ないでね」とのこと。

「ジョーンズ君。これはお見舞いに行った方がいいのかね?行かないほうがいいのかね?よく分からんよ」

まあ、お察しください(笑)

ウチの母は、友人や親戚がガンになったという報告を受けたときは、「外は寒い」という理由でお見舞いに行かず、何人かからガチで怒られており、本人は「なんで、怒られないといけないんだ」と逆ギレしていたのですが、同じ身になってようやくあの時の相手の気持ちが分かってくれたらいいんですけどね。

 



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