ほぼ日刊レトロゲームレイダース

おすすめエンタメ情報&笑い話を発信





?



【ネタバレあり】『ターミネーター ニューフェイト』の感想。『T2』には及ばないけど正統続編だと思う8つの理由。

f:id:retrogameraiders:20191110094307j:plain

ネットのレビューを見ていると、賛否両論が分かれている本作。しかし俺は、『T2』ほどではないけど結構のこま作品には(いい意味で)ガツンとやられた派です。なので、俺が推す理由をまとめてみました。ネタバレあり。すでに鑑賞した方が1つの解釈を知るために読むことをオススメする記事です。

 

?

 

 

まず自己紹介

最初に俺という人間が『ターミネーター』シリーズという作品をどう感じているかを簡単にご紹介しておきます。これまでの作品評価によってレビューの傾向って変わりますからね。

 

ターミネーター

個人的評価:★★★★☆

低予算で作ったとは思えないくらい最高に面白かった。一見するとアタマがおかしいイケメンが実は機械に支配された未来から送り込まれた未来人の戦士。未来において、機械軍(スカイネット)を追い詰める人間の指導者を生む母親、サラ・コナーを抹殺し、歴史改変を行なおうとするなんてストーリー、中二病男子の俺には最高でした。レストランのウェイトレスで女の子女の子していたサラが、男に守ってもらう立場から自分の意志で戦う女へと成長する姿は今見てもグッとくる。

 

ターミネーター2

個人的評価:★★★★★

後世に語り継ぐべき傑作。しかし、前作を観ずに本作を「最高!」という人は好きではない。単体で観ても面白いけど、キャメロンが作る続編は、前作からのキャラクターの役割変更によって生まれる化学反応こそが妙だと思うので。前作ではどんな攻撃も通用しなかったターミネーターT-800が、本作では改造されて運命の子ジョンを守る護衛の役割にチェンジ。そのターミネーターT-800ですら苦戦する新型ターミネーターT-1000の強さにハラハラが止まらないぜ。サラは逞しくなったけど、人類の命運を握る子を守り育てなければならないという責務から、メンタル的には少々壊れ気味。でも、そうなるのもよく分かる。本編中、ターミネーターがジョンとの触れ合いの中で、学習して少しずつ人間らしさが形成されていく過程があるからこそ、ラストシーンの溶鉱炉はボロボロ泣ける。傑作。

 

ターミネーター3

個人的評価:★★☆☆☆

しょうもない作品。結論から言うと、『ターミネーター2』の追いかけっこをより派手にしただけ。敵のターミネーターを女性にした理由も意味も特になく、必然性も感じられない。何よりも『ターミネーター2』の出来事は「無駄だった」と思わせる作りが個人的にムカついていて、「運命が先送りになった」ってなんじゃそりゃ。バカにしてんのか。ただのアクション映画として観れば面白いけど、『ターミネーター』のシリーズとしてはまったく力及ばずって個人的印象。とにかく、ジョンを演じたニック・スタールが前作でジョンを演じたエドワード・ファーロングの成長した姿に見えない。脚本的にもただの頼りない男みたいな描かれ方で残念。

 

ターミネーター4

個人的評価:★★★☆☆

ターミネーター3』はなかったことにして、『ターミネーター2』とつながる未来での物語。機械軍スカイネットと人類の全面戦争を描いているため、追いかけっこというシリーズの伝統はなくなっている。ジェームス・キャメロンが創り出した『ターミネーター』の世界観を広げようとした功績は評価したい。人類軍の指導者になったジョン・コナーが出てきたり、序盤からずっと出てくる少年の正体が、後にジョンが過去に送る戦士カイルだったり。新型ターミネーターとしてシュワルツェネッガー顔のT-800が出てきたり。見どころはたくさんある。嫌いじゃない。だけど、『ターミネーター』としてのハラハラドキドキはあまりなくて、シリーズとして見ると「ぐぬぬ…」なところはあるんだよなぁ。

 

ターミネーター 新起動』

個人的評価:★★☆☆☆

部分部分のアイデアは光るが、全体的に見るとどうしようもない作品。過去に送り込まれてくる敵ターミネーターがジョン・コナーというアイデアは面白いし、カイルよりも過去に送り込まれて先回りしたターミネーターT-800によって、サラ・コナーがすでに戦士として習熟していること。1980年代に手に入るものでT-1000を倒すなど、過去作を踏まえて次に進もうという意欲は評価したい。だが、個人的に許せないことの1つがメカに対するトンデモ設定。ジョンがウイルスみたいなものに襲われてターミネーターに改造されるくだりは納得できない。あと、終盤、破損したT-800が液体金属の沼に落ちてアップデートするくだりも納得できない。さらに言えば、カイル、サラ、ジョン、誰も過去作の俳優に似せようとしていない点もあって、あんまり『ターミネーター』としてどうなんだ?という思いがある。ただ、サラ・コナーを演じたエミリア・クラークはだーい好き。

 

こんな感じのシリーズの感想を抱いている俺です。そんな俺が『ターミネーター ニューフェイト』の魅力をお伝えします。

 

【理由その1】サラ・コナーが「ターミネーター

ターミネーター 新起動』のように本当にターミネーターというわけではないんだけど。『ターミネーター2』に出てきた「改造T-800」のポジション(役割)にいるのが、『ニューフェイト』におけるサラ・コナーです。もうおばあちゃんなんだけど、マシンガンはぶっ放すわ、ロケットランチャーは使いこなすわ、すげえ頼りがいがある。これこそ、『ターミネーター2』のサラ・コナーの延長上としてかなり納得度の高いキャラクターとして描かれています。

 

しかし、俺が推す理由はそんな表層的なところじゃありません。彼女は心を<機械>にして戦っていることが物語中盤から分かってきます。人でありながら機械として生きている。そう生きざる得ない出来事が過去にあったからなのでした。機械だけど人の皮をかぶっているターミネーターと、同じようなところに堕ちてしまっているんですね。

 

【理由その2】T-800が「ジョン・コナー」

機械のように生きているサラ・コナーに「人間として生きろ」とメッセージを発するのが、『ニューフェイト』におけるT-800です。彼は、『ターミネーター2』以降に過去に送られてきたターミネーターの1体で、任務遂行後、20年間にわたって人間社会に紛れ込んでいました。正体がバレないように、人間として生きるために人間のことを学習していった彼は、夫の暴力に苦しんでいた女性とその息子といっしょに暮すようになり、人間の心を理解できるようになっていたのでした。そして、自分が行なった任務の結果を悔いて、正体を隠してサラ・コナーを支援しつづけていたのでした。

 

【理由その3】時間改変者は必ずその報いを受ける

時間に関与した者は、因果律によって大きなしっぺ返しを食らう。『ターミネーター2』でサラとジョンとT-800が実現した時間改変。それによってスカイネットは消滅し、60億人がしめつする未来は回避されました。人類のための行為でしたが、生き延びたサラとジョンは報いを受けていたことが本作では発覚します。スカイネットは、T-1000が任務に失敗したときのために、何体ものターミネーターをあらゆる時代に送り込んでいたのでした。時間改変によってスカイネットは消滅しましたが、ターミネーターが過去に送られたという事実は変えることができず、サラとジョンは何体ものターミネーターと戦い続ける人生を送ることになってしまったのです。その生活はすぐに限界に達し、悲劇が起こります。

 

【理由その4】「新カイル・リース」に、女戦士グレース

『ニューフェイト』では、新たに未来から送られてくるターミネーターに狙われるヒロインと、それを守る護衛者が登場します。初代『ターミネーター』におけるカイル・リースのポジションにいるのが女戦士グレースです。マッケンジー・デイヴィス演じるグレースがとても良い。彼女は未来で肉体を大きく破損された際に、強化兵士手術を自ら志願して受けます。それによって、常人には考えられない身体能力を発揮できるのですが、いいことばかりではありません。使いすぎると、オーバーヒートを起こしてしまい、立つこともままならなくなるのです。彼女はクスリを打ち、身体に鞭を打って、護衛対象であるダニエラ・ラモスを守っていきます。

 

グレースの存在は、初代『ターミネーター』の宿題だと俺は思っていて。初代『ターミネーター』においてサラ・コナーを護衛するカイル・リースが命を懸ける理由って、あんまり感じられないんですよね。もちろん、描かれていないわけじゃなくて。尊敬しているジョン・コナーの母親として憧れているわけですが、はたしてそれが命を懸ける同機になりうるのか。ちょっと怪しいなーと思っていました。『ニューフェイト』におけるカイル・リースのポジションのグレースには、それがあります。グレースが命を懸ける納得度の高い理由がきちんと描かれている点は、深化したところでしょう。

 

【理由その5】サラとグレースは、コインの「表」と「裏」

サラ・コナーは、心を機械にして、復讐のために戦います。グレースは、身体を機械にして、希望のために戦います。ニューヒロイン、ダニエラ・ラモスを守るこの2人は、まったく対照的です。最初はけん制し合う2人ですが、無理をして必死にダニエラを守るグレースの姿に、サラはある人物を思い起こさせます。劇中ではセリフとして出てこないのですが、サラの表情を読み解くに、グレースの姿にかつて愛したカイル・リース、そしてジョンを守ろうとしていたかつての自分を見たのだと思います。

 

ターミネーター ニューフェイト』は、サラ・コナーの魂の再生と救済の物語です。表向きは違いますが、生きる希望をなくしていたサラ・コナーが、再び立ち上がるまでを描いている物語とも解釈できます。

 

【理由その6】『T2』がムダになっていない設定

スカイネットは消滅しました。しかし、代わりに「リージョン」という機械軍が生まれ、人類vs機械の戦争が起きてしまうことが発覚します。人類vs機械の戦争は、相手がスカイネットでなくても、「避けられない運命」だったのです。では、『ターミネーター2』で行なったことは無駄だったのか。それは違います。

 

新たなる敵「リージョン」が送り込んでくるターミネーターRev-9はめちゃくちゃ強いんですよ。人類軍が送り込んだ戦士グレースだけでは到底守り切れない。これは物語序盤で発覚する事実です。でも、この時代にグレースを助ける貴重な戦力が存在する。それは、「サラ・コナー」と「人間を学習したT-800」。スカイネットが存在しなければ、サラ・コナーは戦士として生きる道を選ばなかったでしょうし、サラ・コナーが脅威になったからこそジョン抹殺のために「T-800」は送られてくることになります。そして、スカイネットが消滅したからこそ、新たな指令が来ることもなく、T-800は元の時代に戻ることも自爆することもできず、20年という歳月を人間社会で過ごすことになる。『ターミネーター2』の出来事があったからこそ、人類は新たな機械軍に未来の人類の指導者を殺されない選択肢を得ることができたわけです。

 

【理由その7】ターミネーターRev-9がひと味違う

 ガブリエル・ルナが演じるターミネーターRev-9のことを「身体が小さくて迫力不足」といったレビューも見かけますが、俺はそうは思いません。Rev-9はこれまでの敵スカイネットが送り込んできたターミネーターとは明らかにコンセプトが違うんですよ。これまでのスカイネット産のターミネーターが兵器色が強かったのに対し、リージョン産のRev-9は過去の人間社会への潜入を目的にしていると推測されます。そのため、軽口や表情があまり機械っぽくないわけです。

 

金属の骨格に液体金属をまとったRev-9は、骨格部分と液体金属部分が分離して、2体で攻撃することも可能です。加えて、現代社会のネットにハッキングすることも可能で、人工衛星やドローン、街中にあふれているカメラをつかって、簡単にダニエラやグレースを見つけてしまいます。強い。そして頭がいい。ターミネーターT-800とT-1000の良いところを取った強敵です。これは映画を観ているこちらとしては、「ああ、過去作のオマージュね」と思ってしまいがちですが、そうじゃないんですよ。

 

『ニューフェイト』の世界線では、スカイネットもT-800もT-1000も存在していないわけで。それでも機械が考える対人間兵器のあるべき姿は、スカイネットとほぼ同じ結論だった、というところが熱いんですよ。

 

【理由その8】焼き直しじゃない。意図的なくり返し

 『ニューフェイト』で感じるのは、『ターミネーター』『ターミネーター2』によく似た展開という点です。それは否めません。否定的なレビューの中には「新しさがない」というものもありますが、俺は別の意見です。

 

前述した通り、『ニューフェイト』の世界線では、スカイネットもT-800もT-1000も存在していません。リージョンは“初めて”過去にターミネーターを送り込み、時間改変を行なおうとしているわけで。結果として、スカイネットが行なっていたことを同じことになるというのは充分あり得る話ではないでしょうか。そしてもう1つ、『ニューフェイト』で「同じようなことをくり返す」ことには重大な意味があります。それは、サラ・コナーが昔の自分を思い出すため。そして、起きてしまった悲劇に対して「もう同じことはくり返させない」と決意させるために、既視感がこの作品ではとても重要だと思うわけで。

 

上のほうで俺が批判してきた量産された続編あるあるの1つである、物語の展開が『ターミネーター2』のクローンである作品とは、既視感のある展開への意味がきちんとあるわけです。

 

 

・・・というわけで、言いたいことをいろいろ語らせていただきました。グレースが最新鋭のターミネーターに対して鎖で戦うとか、ポテトチップスの袋にスマホを入れるとGPSで探知されにくくなるとか、いろんな魅力の詰まっている正統続編『ターミネーター ニユーフェイト』。俺の解釈を面白いと感じていただけたなら、ぜひ劇場で確認していただきたいと思います。いい作品ですよ。

 

 

?