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【こわい話】東京のおねえさん

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今回は、オカルト系のガチ怖い話なので、苦手な方はスルーしてください。

 

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こんな話を聞きました。

 

友人のKのお姉さんの話である。お姉さんはKとは5つ離れていて、大学卒業後、都内の会社に就職し、そのまま東京で一人暮らしをしていたという。仕事で忙しいせいか、埼玉県の実家に帰ってくるのは、8月のお盆と1月の正月くらい。実家にいたときは、手の付けられない女帝のように振舞っていたお姉さんだったが、社会の荒波に飲まれて丸くなったのか、会うたびに落ち着いた感じになっていくお姉さんを見て、Kは「大人になる」ってこういうことなんだなぁと思ったそうだ。

 

Kが大学生2年の頃、お姉さんに彼氏ができたらしいことを、母づてに聞いた。お姉さんと電話で話して発覚したことらしいのだが、どうやらその相手とは結婚も考えているとのこと。「あの子もついに…」、お母さんは泣いていた。

 

が、

 

ここで、お姉さんの身に「何か」があったらしい。

 

しばらくお姉さんと連絡が取れなくなった。電話をかけても出ない。心配になった父と母の二人がお姉さんが住んでいるアパートに行ってみると、その部屋はすでに引き払われていた。職場に連絡をしてみるが、そちらもすでに退職しているという。お姉さんとの連絡が完全に途絶えてしまった。すると、手紙が届いた。お姉さんからだ。そこには、社員寮のある新しい会社に転職し、頑張っている旨が書かれていた。ほっとする両親。しかし、その年のお盆、姉は帰ってこなかった。

 

突然、姉が帰ってきたのは、12月30日のこと。夜の8時頃、ピンポーンとインターフォンが鳴るので、「誰だろう?」と出てみたら、お姉さんだった。KとKの両親は驚いた。お姉さんがだっこ紐をつけて、胸に子供を抱いていたからだ。誰の子? いつ生んだの?例の彼氏は? いろんな疑問が湧いてきた。お姉さんは、「しばらく連絡できないでごめんね。ちょっとバタバタしてて」と言いながら、だっこ紐を解いて、抱いていたこどもをお母さんに渡した。

 

赤ちゃんを抱こうと、顔をほこほこさせていたお母さんは赤ちゃんを見て、「ひっ!」と声を上げる。それは、人形だった。ドールといわれる精巧につくられた子どもの人形を、お姉さんは我が子のように扱っていたのだ。「何かの冗談よね?」。家族全員がお姉さんのほうを見ると、お姉さんはニッコリ笑って、「名前は■■■■■■っていうの」と答えた。名前は聞き取れなかった。日本語ではないと思う。

 

お姉さんはいたって普通だった。今まで何をしていたのか?と聞いても、「新しい仕事が忙しくて」とか、「自分は中途入社だから早く慣れないといけなくて」とか、フツウのことを答える。しかし、ドールに対しては、まるで本当の子どものように、「あっ、■■■■■■。お腹がすいたんでちゅか」「ちょっと待っててね。ママが抱っこしてあげる」と接しているのが、ことさら不気味だったという。

 

お姉さんの身に何かが起きた。あの人形は心を回復させるセラピーの一環みたいなものなのだ。KとKの両親はそう思おうとした。

 

その夜、寝ている最中に喉が渇きを感じたKは、一回のリビングに麦茶を飲みに行った。リビングの明かりがついていた。姉がいる。こちらに背を向けて、パチン、パチン…と爪を切っている。「なあ、姉貴…」と声をかけようとしたKは、思わず息を飲んだ。切っていたのは、ドールの足の爪だった。

 

恐ろしくなったKはすぐに二階の自室に戻り、布団をかぶった。ギッギッギッ…。姉があのドールを抱いて、階段を上ってくる音がする。そのまま、ガチャッとドアが開けられ、姉の部屋に入る音がする。沈黙。田舎の夜は静かだ。静かゆえに、ちょっとした音が主張をする。オンア、オンア…。あれは、どこか近所の家の赤ん坊の泣き声だ。Kは必死にそう思い込もうとして、イヤホンをつけて音楽を聴きながら、いつしか眠りについた。

 

姐は、1月3日に、東京へ帰った。

 

Kも、Kの両親も、ゲッソリと疲れ果てた。あれは何だったのか。お姉さんはどうしてしまったのか。何も分からない。ただ、「あれが娘である以上、親として、受け入れるだけよ」と、Kのお母さんは言った。「お前、怖いなら、家を出ていいぞ」と、Kのお父さんは言った。その言葉に甘えたわけではないが、就職を機にKは上京し、一人暮らしを始めることにした。

 

姐は、お盆と正月に、あのドールを連れて帰ってくるという。ドールは、会うたびに少しずつパーツを変えているのか、大きくなっているそうだ。

 



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