6月29日(土)18時、大阪の株式会社クローバーフィールドという会社のツイッター公式アカウントが、「今夜は饒舌になってきたので問題発言をしてしまいそうです。まずいですね」という前置きでフラグを立てて、「いい歳していつまでも独身の人は信用しない」といった旨のツイートを連続して投稿。炎上しました。この件について、今回はちょろちょろと個人的な見解を書きたいと思います。
該当ツイートはこちら
今夜は饒舌になってきたので問題発言をしてしまいそうです。
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
まずいですね。
実をいうと、この7月1日施行の賃金規定から職階手当が大幅に増額になっています。
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
また、次回の更新時には住宅手当や家族手当の導入を検討しています。
大っぴらには表明していませんが、ある特定の層を優遇する意志を明確にしたということです。
あまり大っぴらに発言するとお叱りを受けそうなのですが……
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
結局のところ、いい歳していつまでも独身の人は信用しないし、既婚でも子どもがいるかどうかで信用度は異なるということなんです。
結婚以前に一人暮らし経験の有無も重要です。
既婚か否か、子どもの有無で差別するようなことは実際にはありません。
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
ただ、本人の仕事や世の中への責任感など、どうしても差が出るんです。
自分一人が逃げ切ればOKの人と、子や孫の世代の安泰まで考えられる人が同じはずがないのです。
そういうわけで、結婚して子どもをもうけることで眷属を増やす社員が優遇されるように、家族手当や住宅手当を整備しようとしているわけです。
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
そして、社内で出世するのは結局そういう人物なので、職階手当を大幅に増額しました。
執行役員の手当は倍増ですからね。
要はそういうことなんです。
未婚でも子無しでも責任感のある人はあると主張する人はいます。
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
実際そうだと思います。
でもね。
その責任感が及ぶ範囲は所詮目先の仕事に対してだけなんです。
自分が引退したあと、もっといえば自分がすでにこの世にいない100年以上先の未来にまで責任を持つのかどうかなんですよ。
というわけで、昨今の若い人たちをドン引きさせた上で、繰り返し給与が安いことを強調し続けているのが弊社です。
— 株式会社クローバーフィールド (@cloverfield_inc) June 29, 2019
価値観がどうしても合わない人はどうぞ他をあたってください。
現状はともかく、そこを目指したい人は歓迎します。
まあ、炎上するわなという(笑)。
「独身者は信用できない」といった発言に対して「昭和の価値観」といった批判があげられていますが、俺に言わせるとそれは間違いで、きちんとした「令和の価値観」であり、「独身者が信用できない」というのも、2019年現在で的の外れた発言ではないと思っています。
雇用側の視点で考えてみると
かなり長い間、いろいろ企業の経営者のお悩み相談に乗ってきた中でよく言われるのが、どうしようもない社員問題です。どういう社員かというと、「仕事を途中で放り出してしまう人」「いきなり失踪してしまう人」のこと。中小企業に所属していると、こういう人と一定の確率で遭遇します。
で、この「仕事を途中で放り出してしまう人」「いきなり失踪してしまう人」ってのは、多くの場合、いい歳して結婚していない人、既婚でも子供がいない人だったりするわけで。
なので俺の意見としては、
株式会社クローバーフィールドが言いたいことが、「全いい歳して結婚していない人」「全既婚でも子供がいない人」に対してではなく、一部のどうしようもない「いい歳して結婚していない人」「既婚でも子供がいない人」に対して言っている
――なら、「事実」だし「本音」だろうな、と思いました。
当該ツイートの問題点は、言うまでもなく、「全いい歳して結婚していない人」「全既婚でも子供がいない人」に対して向けた発言に見えるため、センシティブな問題を抱えている人たちに対してはあまりに配慮のない発言となっている点でしょう。これは完全に株式会社クローバーフィールドの落ち度でしょう。
実は、既婚者・家庭持ちターゲットの採用PRかも
当該ツイートは、「いい歳して結婚していない人」「既婚でも子供がいない人」をサゲているインパクトが強くて目立たないのですが、「結婚している人」「子供がいる人」を無条件にアゲている一面があることも忘れてはなりません。
要は、「結婚している人、子どもがいる人は、今度導入される手当によって、無条件で優遇されるからウチにおいでよ!」というメッセージでもあるわけです。
しかし、まだ導入が決定している福利厚生ではないため、採用ページに手当の金額といった詳細情報が書かれておらず、どれくらいもらえることになるのか分からない点が残念ですね。
「結婚している人」「子供がいる人」アゲのツイートで、採用ページと連動していたら、今回の炎上は採用PRとして機能していたかもしれませんが、そうはなりませんでしたね。6月最後の土曜日に開かれた経営会議で新しい手当などの仕組みづくりと今後採用していく人材の方向性が決まり、ちょっと興奮した状態でその興奮を伝えたくてツイートしちゃったくさい…というのが、俺の推理です。
100年以上先のことまで責任うんぬん
当該ツイートの後半では、「子孫を残している人」は「100年以上先まで責任を持つうんぬん」と、なんか論理が飛躍した感じになっちゃっています。酔ってますね。自分に。これも、何がやりたいのか、分からなくもないんですよ。
▼参考資料(無関係な会社の記事です)▼
要は、中小企業ってほとんどの部分で大手に負けてしまうわけで。唯一勝てる点があるとすれば、まだ未完成であり、これからの未来がある点、なんですね。未来を語るだけなら大きなことが言えるわけです。
ここを上手く言っていくのがウデの見せどころなのですが、大切なのはロジックの組み立てであり、それができないと、やや痛い意識高い系発言にしか聞こえなくなってしまう点は、クローバーフィールド事件から俺たちが学ぶべきところでしょう。
ほんとにいる残念な経営者
俺が会ってきた経営者の話です。
残念な方もそれなりにいて。社員に高い給与は払えないことは確定事項なので、採用したい人は「給与が低くてもやる気がある人」とか大真面目に言ってくるわけです。こちらは「ははは…ご冗談を…」と苦笑するしかないわけのですが、すると「俺は本気だ!プロとしての仕事をしろ!」と、激おこになったりしてね。「お前も経営のプロとしての仕事をしろよ」と心の中で思ったのは、ここだけの秘密です。
株式会社クローバーフィールドさんも、そういう会社でないことを祈ります。
当該ツイートの中に、「繰り返し給与が安いことを強調し続けているのが弊社です」と書きつつ、「執行役員の手当は倍増ですからね」と語られているところに、ヒラ社員の給与はあいかわらず低いままだけど役員クラスの増額したよ的な見え方もして、一抹の不安を覚えるのですが、「気のせいだといいなぁ」と思います。はい。