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『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を大人になってからプレイして感じたこと。

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よく誤解されることなのですが、いい大人がレトロゲームをプレイしていて楽しいのは、童心に還る現実逃避だけが目的ではありません。ある程度の人生を歩んできたからこそ身につけた感受性で、当時とは違った感想を持つ…というのも、大人ゲームプレイの醍醐味だと思う今日この頃です。そんなわけで、今回は『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の話。ネタバレが入っているので、知りたくない方は飛ばしてください。

 

 

 

それは、家族の物語

「結婚」というゲーム内イベントにスポットが当たりがちな本作ですが、大人になってからプレイしてみると、本作は「家族の物語」であることがよく分かります。この家族とは、主人公を中心とするグランバニア王族ファミリーのことではありません。主人公が一緒に旅をするモノたちのことです。

 

本作の主人公は、ごくフツウの少年時代を送ることができませんでした。物心ついたときには、父親と2人で旅をしていて。多感な成長期は、奴隷として地下で労働の日々を送ることに。人によっては、その生い立ちを不幸というでしょう。しかし、過酷な半生を送ってきたからこそ、主人公は「受け入れる」という「愛」を育んでいくことができたのではないでしょうか。

 

本作は、ドラゴンクエストシリーズ5作目として、これまでにない画期的なシステムとして、戦闘で戦った「モンスターを仲間にできる」が搭載されました。ゲーム後半は、旅をつづけながら、新しい仲間を集めるという展開になります。エルヘブンの民の血を引く主人公は、モンスターたちと心を通わすことができる特殊能力を持っており、モンスター使いへと成長していきます。しかし、主人公とモンスターは、使役する側・される側という関係性に見えません。同等の関係ではないでしょうか。

 

主人公は、モンスターたちを「受け入れている」のです。姿・形・これまでのことにとらわれることなく、受け入れていく。それが父パパスとも、息子である天空の勇者とも違う、主人公の強さ。過酷な日々を送ってきたことで孤独の苦しみを知っているからこそ、主人公は仲間やモンスターたちに居場所を作ってあげているのです。そう、彼が馬車で率いているのは、戦いに有効な戦闘集団ではなく、いっしょに歩んでいきたいと思った家族なのではないでしょうか。

 

本作では、結婚相手を選ぶことができます。俺はいつもビアンカを選んでしまいます。なぜか。何度プレイしても、主人公が抱えてきた孤独を理解してくれるのは、ビアンカだけだと感じるからです。

 

地下の奴隷生活から抜け出して、ラインハットの継承者問題を解決し、長年の親友と別れて、小さくなったように感じる故郷を訪れて、広大な世界に放り出された主人公が、前に歩こうと思う原動力は、俺には父パパスの遺言だけとは思えないんですよね。思い出すと懐かしい、いっしょに古城で冒険し、今はどこにいるか分からない幼馴染と再会したいという思いこそが、冒険の原動力な気がするのです。

 

2歳年上のお姉さんであり、いろんな人たちが集まる宿屋の娘であり、主人公がどんな人間かを昔から知っているビアンカだけが、いっしょにいろんな困難を乗り越えていけるパートナーとして主人公を見てくれるような気が俺はするのでした。

 

大人になってからこの作品をプレイすると、パパスの行動にグッときます。彼は、スライムと戦闘になった主人公のもとに1ターン後には駆けつけます。1回の戦闘が終わるごとに「大丈夫か?」と声をかけ、そんなにダメージを負っていなくてもホイミをかけてくれます。そんなに1つひとつの動作に、父の愛があることを知った今だからこそ、主人公は母親と暮らすことはできなかったけど、父の愛情に包まれて育ってきたわけで、だからこそ愛することを学んできたんだなぁと思うわけです。

 

現実の結婚はいい面ばかりではありません。子育てだって大変です。仕事だってそう。イライラが募って、つい相手に当たってしまうこともあります。でも、異なる考えや意見を受け入れることが大切。それが相手を思いやることの第一歩であり、関係構築に欠かせないことなのですから。

 

そんな説教くさいメッセージがあるゲームではありませんが、大人だからこそ、レトロゲームで気づくこと・感じることがあったりもするのです。いつも一緒にいる家族の人になっている人は、かつては世界で一番大切にしたいと思っていた人だったことを忘れていませんか。俺は忘れかけていました。あの日の気持ちを思い出してください。人生のバッテリーバックアップの寿命は、スーパーファミコンカセットのものよりも長いはずですから。