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人の夢を笑う人間がマネジメントラインにいるのは、ダメだこりゃと思った話。

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先日、前にいた会社の後輩とご飯を食べる機会がありまして。ふと思い出したことがあったので書いてみます。マネジメントの方法論はいろいろありますし、企業フェーズや文化によって正解が異なるものだと思いますが、俺が以前いた会社の所属部門であったことと俺が思ったことを書いてみます。誰かの参考になるかもしれませんし、参考にならないかもしれない話です。

 

 

 

仕事を通じた成長を奨励する会社でした

この会社に入ったときの俺は、ビジネスパーソンとしての自分に自信がなく、コンプレックスの塊だったんですね。「このままじゃいけない!」という思いが脳みそと心を支配しており、「成長しなきゃ!」という漠然とした思いは「仕事を通じて成長しろよ!機会は与えてあげる!」という社風とマッチしていたと思います。

 

大変なことはたくさんありました。週に4日はカプセルホテルに泊まっていたし、徹夜したことも何度もあるし、残業上等、休日返上で仕事に没頭していました。今だと「ブラック環境だ!」と非難されるかもしれませんが、人一倍練習する部員がインターハイのメンバーに選ばれるのと同じように、練習と経験を積まないと得られないチカラって絶対にあるわけで。たしかに大変だったけど、あの時に頑張ったから、今の自分があるといえます。その点、会社には感謝の気持ちしかありません。

 

メンバークラスのときはこれで良かった。しかし、「成長を目指しているのっておかしくないか?」と感じ始めたのは、しばらくたってからのことでした。

 

成長ってゴールがないと非効率だよね

成長が目的になっている自分に違和感を覚えました。それはそうですよね。成長とはプロセスなわけで、ゴールではありません。筋トレに例えると、成長を目的にしているというのは、「とりあえず今よりもいい感じで筋肉がつけばいいや」とやみくもに腕立てと腹筋をしているようなもので、その行為は無駄ではないと思いますが、効率的にビルドアップできる状況ではありません。成長もしかりです。

 

どんな自分になりたいのか。

 

目指すべきゴールがなければ、効率的な成長はできません。その会社では四半期ごとに振り返りミーティングがあり、その場で俺は当時の女性上司に、素直に「なりたい自分」を伝えました。

 

笑われました。

 

「いい歳をした社会人が言うべき内容じゃないww」と言われました。恥かしくなって顔を真っ赤にしました。その振り返りミーティングは、今、そういう発言をしていることが問題ということになり、恥ずかしくない社会人としての常識、見識を広めるという方向で次の育成計画が組まれることに。「そういうものなのかな?」と思い、俺は別にやりたくもない業界別の調べ事とかをやらされることになったのでした。

 

このようなやり取りが10数年つづきます。上司は人が変わっていきますが、言われることはいつも同じ。笑われるのです。「現実を見ろww」「今、それを言いますかww」「大人になってくださいww」。漫画『ワンピース』の空島編の冒頭、「空島に行きたい」というルフィたちをベラミーたちに笑われます。俺はあのシーンを読むのがつらかった。なぜなら、俺は本当にあんな感じで笑われていたからです。

 

だから俺は、会社の振り返りミーティングで上司に本音で話をするのをやめました。本音で話せば笑われるだけですから。もちろん、自分の考えがおかしいのか、拙いのか、幼いのか、何度も自問自答しました。でも、答えは否だったんです。俺は自分の心にウソはつけない。自分の本心を大切にするために、会社に対して偽りの自分を演じることにしたのでした。

 

そして、自分が夢を語られる側に

リーダーになった俺は、振り返りミーティングでメンバーたちに「将来、どうなりたいの?」と聞く側になりました。俺は1つだけ決めていたことがあります。それは、メンバー1人ひとりの夢に真剣に耳を傾けること。俺にはいなかったタイプの上司に俺はなろうと思いました。

 

叶えたいと思っている夢にリンクするって、最高のやる気スイッチだと思うんですよ。たしかに俺余も若い人たちが語る夢って、「おいおい…」と思うところはある。でも、それを否定することはできないと思っています。夢って、叶えられる人じゃないと見れないものですから。俺には実現不可能に見えるだけかもしれない。それに本人が真剣に考えているものを無下には扱えない。それが俺の信念でした。

 

だから俺は、メンバーが語る夢に耳を傾けて、今現在の状況「今、君はこういうことはできているけど、こういうことはできていない。夢の叶えるためには、こういう能力や知識を身につけていく必要があるから、順番としては、まずは初級編といえるこのスキルを身につけていこう。そのためにはこの仕事に注力するのがいいね」といった育成計画を結構時間をかけて作っていたんですよ。

 

で、その結果、

 

上司に笑われるんですよ。「真面目にやっていますかww」と。大いに真面目でした。少なくとも誰よりもメンバーのやる気スイッチを押す育成計画を作れたと思っていました。でも、上はそうは見てくれないんですよね。俺は脱力感に襲われました。が、戦いましたよ。「本人が本気でそう思っているものを、何の権限をもって否定するのか」と言って承認させました。メンバーはその半期、とても高い成果をあげてくれました。

 

会長に相談に行きました

幹部候補生はみんな会長が主催する少人数制の勉強会に参加することになっていて。俺は自分のマネジメントの考え方が間違っているのか、会長に相談したことがあります。会長の答えは、俺の考えを肯定するものでした。

 

「会社は組織である以上、1人ひとりが自分の夢を実現させるために好き勝手なことをやっては収拾がつかなくなるから、そこを管理するのがマネジメント職の役目。本人のやる気を出させるには、本人がやりたいと思っていることと、目の前にある仕事をどうリンクさせるか。ここにマネジメントのウデが必要となる」

 

俺は自分は間違っていないと解釈しました。今にして思うと、俺の上司たちは「会社が求める会社員を育てよう」としていたように思います。それは間違ってはいません。でもその理論が、「給与をもらっているんだから、会社のために会社が求める戦力になるのは当たり前」という発想であり、それも間違ってはいないのですが、本人のやりたいことが抜け落ちている思考だと思うんですよね。そこが最後まで相いれなかったなーと思います。

 

前にいた会社は、今も若手の早期退職率が減らないと嘆いています。たぶん、その理由は、マネジメントラインの意識にあると、俺は思っている次第です。

 

これまで尊敬できる上司がいませんでした。今の会社の社長は、俺の夢について笑わないで真剣に聞いてくれたんですよ。その上で、自分たちの会社ならどういうことができて、どういう成長ができそうかを一緒に考えてくれました。「ああ、この人は付いていきたい人だ…」と思えたんですよね。こういうコミュニケーションって、人と人が関わる仕事だからこそ大切だと思うんです。本当に。