もう最悪である。
先週の日曜日の夕方、息子の「アタマが痛い」発言と38度を超える熱が確認された時点で、インフルエンザの感染が予想されました。
家長である私による「第二級感染警戒体制」への移行が発令され、息子は2Fにある隔離部屋(通称こどもルーム)に移送。私と妻は事前に話し合っていた感染対策実施要項に基づき、こどもルームにファンヒーターと加湿器を設置。2Fのトイレは感染者用。1Fトイレは非感染者用に分け、マスク着用、ハンディ空気清浄機着用と、万全の体制を整えることとなりました。
子どもがいる&共働きの家庭において、インフルエンザの感染は大打撃です。刑事大打撃です。私と妻の双方の仕事を休まざるを得ない状況も想定しなければならないかも。しかも、2月の月末。私は月末向けに仕事が結構舞い込んでいるわけで。万が一感染したとしても、これだけは自分で対応しなければなりません。ブラック企業?いいえ、違います。仕事は名刺ですから、しかも自分がプレゼンした仕事。ここは踏ん張らなければならないときです。
月曜日の午前10時。
息子を病院に連れて行った妻から「子どもはインフルB型だった」という報告が。「第二級感染警戒体制」は「第一級感染対策体制」へと移行することとなりました。ちなみに、この時点での妻は陰性。しかし、感染後の潜伏期間である可能性もあるため、飲食系の仕事をしている妻は1週間の休暇が決定しました。『マネ会』のほうの記事でもちょろっと書きましたが、私は基本激務ですので、帰りは午後10時台がほとんど。しかし、滅多に出さない本気モード(100パー中の100パーというやつ)で定時に帰宅し、妻のフォローにあたったのです。実際は邪魔者扱いされるだけなのですが。
水曜日の午前11時。
前日から「熱っぽい」「ダルい」と思っていた私が医者に行くと、「インフルエンザB型ですね」という診断が。私も即退社し、自宅で隔離されることになりました。隔離場所は2Fの寝室。しかし、まだ本格的な波が襲ってこなかったので、その間に溜まっている仕事をシュビビッと対応し、電話連絡でクライアントへ引き渡し。しかし、クライアントが少し優柔不断で、「うーん、ちょっとみんなの意見を聞きたいから、後で連絡してもいいかなぁ」的な発言とその後に待ち受ける待機時間中に私の体温は大上昇。恋をしているくらい頬を赤らめた状態ですが、熱により思考回路はショート寸前。「やっぱり、みんなもこの案がいいって!」というクライアントの声を聞いた時は、思わず服を脱いでプラトーンポーズをしてしまいました。
すでにこの時点で私は使い物にならず。息子も高熱でハアハア言っている状態。2人の世話を奥さま1人に任せる事態に陥ってしまいました。大反省です。ちなみに、インフルエンザB型は2種類あるらしく、息子と私の型が同じかどうか分からないため、相部屋も不可。そして、妻が看護に疲れた頃、さらなる悲劇が起きてしまいます。
木曜日午前11時。
病院に行った妻の「インフルエンザB型」の発症を確認。3人とも熱が38~39度を行き来。洟は出るし、咳は出るし、頭は痛いし、節々は痛いし。フラフラするので、まともに立ち上がることもできません。胃腸もやられているようで食欲もないのですが、何か食べないと治るものも治りません。
ところが、この時点で我が家には深刻な備蓄問題を抱えていました。感染対策実施要項の中には、家族全員が感染して食料の調達が難しくなったときのために、1週間分の栄養豊富な食糧を備蓄しておくというルールがありました。しかし、年末年始に賞味期限が切れそうだったので、家族みんなで『緊急検証!シリーズ』とか『ほんとにあった呪いのビデオシリーズ』を観ているときに、ほとんど食べ尽してしまったのです。当然、買い足すことなくそのままに。くそっ、戦争を知らない私たちには危機感が足りません。
土曜日午前10時。
家の中は、ジョージ・A・ロメロ監督の名作『ドーン・オブ・ザ・デッド』のオープニングに出てくるアパートの中でゾンビを閉じ込めた隔離部屋のように、寝転がって「あ゛――…」とか「え゛――…」とかいう人間しかいない状態。振り向けば闇。光ははるか遠くに見えない砂の十字架状態。気がつければ、すでに48時間くらい何も食べていませんでした。
とにかく何か食べなければ。何食べれば、エネルギーが生まれるはず。私は半地下になっている備蓄室へ向かいました。そこで、この危機を脱する完全無欠の栄養食品を発見するのです。
『アパ社長カレー 本格派ビーフカレー味』
(ドーン!)
そう、これはたしか、2017年の年末の忘年会のビンゴ大会で手に入れた罰ゲームの景品。いつ食べるか判断がつかずに放置していたことすらも忘れていました。しかも、段ボール1箱分くらいあるぞ。
幸い、ご飯はありましたので、さっそく焚いて、アパ社長カレーを食べます。パクリ。うっ、うまい。口の中で、本格ビーフカレー風のレトルトのルーとご飯がまざって、味の連弾を奏でやがる。しかも、スパイスがアクセントになって胃袋を刺激。スプーンが、と、止まりません。
あっという間に全員完食です。
家族はアパ社長カレーの在庫を貪ることで、徐々に体調を回復させていき、ようやく全員が平熱状態へ。ありがとう、アパ社長。あなたのカレーのおかげで我が家は全滅を免れました。アパ社長、ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい。
…という、ステルスマーケティングも辞さないほどアパ社長カレーに現在依存している私ですが、なんとか生きています。