ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



あの頃のゲームセンターと、狂気と退廃の空間と、荒ぶる不良の話。(後編)

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~前回までのあらすじ~

時は、西暦1986年。あの頃のゲームセンターは、俺たちにとってアヘン窟のような上野の風俗ビルのような「ゼッタイに行っちゃいけない場所」だった。なぜならそこは、粗暴にして粗悪、暴力の権化である「不良」がよく現れる場所だったから。

 

しかし、少年時代のジョーンズは潜入を試みる。なぜならゲーセンは、いろんなゲームが集まる禁断の楽園でもあったからだ。いや、脱衣麻雀があるからだ。「大佐、潜入した。待たせたな」。

 

 

 

 

様子をうかがおうと、ちょっとだけドアを開けた私の目がとらえたのは、私に向かって飛んでくる空飛ぶ円盤でした。アダムスキー型か?!いや、違う!あれは、灰皿だ!灰皿がこっちに飛んできているんだ!

 

ガシャン! 灰皿はわたしのすぐ横の壁にぶつかり、カランカランと床に落ちました。一瞬遅れて、周囲に舞い上がるタバコの灰。ゲホゲホッと私はむせました。そんな私の耳につき刺さる怒号。

 

「ッダロガー!ケガスゥー!」
「ッスケガー、ダラァー!アァ!?」

 

ゲームセンター内で、2人の不良がキスするんじゃないかというくらい顔を近づけ合って、メンチを切り合い、解読不能な言語らしきものを喚いています。マジヤベェ。忘れていました。ここはもはや治安国家ではないということ。

 

周囲に不良たちが取り囲んでおり、どうやら別勢力同士の不良たちの3対3の戦いがはじまろうとしているようです。このように書くと『キング・オブ・ファイターズ』のようも思われるかもしれませんが、実際のところは『熱血硬派くにおくん』であり『ファイナルファイト』です。

 

飛んできた灰皿の意味は、『ストリートファイターII』でいうところの相手の出方を見るための最初の飛び道具といったところなのでしょう。

 

日常で経験したことがない、大声と怒りを浴びせられた小学生の俺の脳みそは、完全に理解が追いついておらず、その場に立ち尽くすだけ。動画編集中にフリーズしたWindowsMeの入っていたノートPC状態でした。しかし、そんなことをやっている場合ではなくなってきます。

 

「ォモテ、デロヤァ!」
「ウッダラァ!ジョートォダア!」

 

不良たちが出入口、私の方にズカズカズカ…と近づいてきたのです。いとヤバし!このまま見つかるとより面倒なことに巻き込まれる!と感じた私は、とっさにゲームセンターの入り口にあるジュース自動販売機の影に隠れました。不良たちはガヤガヤしながら通り過ぎ、お店の裏に向かっていったようです。

 

ちょっと確かめに行くと、お店の裏の駐車場からは、カッ、ボッという不吉な音と、ダシャアー!ゴルァッ!といった罵声が聞こえてきて、餓狼たちのリアルバウトが行なわれている様子。私は恐怖のあまり、ヨロヨロと逃げ出そうとしました。

 

"オッパイパイ"

 

そのとき、私はゲームセンターにやってきた理由を思い出しました。そうです。バビンスキー(学校の友達)が不良にカツアゲに遭ってまで教えてくれた、ゲームセンターにある女の子が服を脱いでいくエッチなゲームを見に来たことを。

 

私はアタマの中で、オワン型のオッパイを思い浮かべました。そして、その先端の突起に、人差し指が押し込まれるイメージを描き、その結果、心は「やっぱりゲーセンに見に行く」という判断へ。そう、これが私の「やる気スイッチ」。私はきびすを返し、ゲームセンターへ向かうのです。

 

ドアをそっと開けて中をのぞくと、不良たちはさっき出ていった人たちだけのようで、店内に他に不良はいない模様。今がチャンスと、私は店内に潜入成功しました。

 

ゲームセンター内は、弱めの灯りで店内が照らされており、タバコの煙でよどんでいました。当時のゲームセンターのゲームは、テーブル筐体とよばれるテーブル型の筐体がメイン。それは天井からの灯りを受けて画面に照明が反射して見えづらいため、店内照明は暗めの設定だったのです。また当時は、全エリアでタバコ吸い放題でしたから、ゲームセンターのようなところは煙だらけだったのです。

 

ゲームセンターに入り浸っている人も特殊で、なんか作業着を着たおじさんとか、パチンコ屋にいそうなおじさんとか、飲み屋にいそうなおじさんとか、今の第二新橋ビルのゲームセンターにいそうな人たちが昔の日本には全国的に生息していましたが、いまではナリを潜めてしまいました。

 

ゲームセンターとは、まさにアンダーグラウンド。しかし、数多くのゲームたちがきらびやかな色を発しながら踊り、キンキンな音でBGMを奏でており、大人たちがそれに夢中になっている様は、どこか未来的ななにかを感じさせる不思議な空間だったのです。

 

私は店内を歩きまわり、エロいゲームを探しました。これでもない!あれでもない!ない!ない!ちくしょう、ガセだったか!

 

意気消チン。そんな俺の目に飛び込んできた1つのゲーム。私はそのゲームに思わず釘づけになりました。それはグラディウスでした。

 

グラディウスについてはコチラ ▼

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消して大げさではなく、俺はこのとき、ゲームセンターの片隅で"宇宙"を見ました。感じたといったほうが正確かもしれません。それくらい感動したのです。キンキンと鳴り響く近未来的なBGM、物理法則を無視した上下に地面があるステージ、見たこともないグロテスクナ生物、すべてがナウでヤングでした。

 

ステージが進むたびに新しい驚きを与えてくれる『グラディウス』に、すっかり夢中になり、おじさんのプレイに見惚れていた俺は1つ大きな過ちを犯してしまいます。それは、戦いの中で戦いを忘れてしまったこと。ゆえに、いつの間にか背後に来ていた不良の存在に、ポンと肩を叩かれるまで気が付くことができなかったのです。

 

「金貸してくれよ」
「も、持っていません」
「ジャンプしろや」

 

チャリン、チャリン

 

「あるやんけ」
「すみません…ありました」
「貸せや」
「は、はい…」

 

不良にカツアゲされているときに、店員と一瞬目があいましたが、ソイツは目を反らしやがりました。俺が大人に絶望した瞬間です。俺は悔しさで泣きながら、暗い道を自転車で家まで帰りましたとさ。

 

しかし、これに懲りて俺はゲームセンター通いを辞めたかというと、むしろ逆で。薄暗いゲームセンターで初めて見た最新テクノロジーによる「宇宙」の感動に心奪われた俺は、その次の感動を求めてゲームセンターにより入り浸り、数多くの不良とのタクティカルエスピオナージアクションを体験し、貴重な小遣いを奪われ、大人に裏切られていきました。

 

あの当時、ゲーム少年たちは、このような経験を経て、少しずつ大人になっていったのです。