ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



【レトロゲームの話】あの頃のゲームセンターと、狂気と退廃の空間と、荒ぶる不良の話。(前編)

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今でこそ、ゲームセンターはプリクラがあったりして、カップルのデートスポットになっていますが、その姿を見るたびに、私はなんとも言えない気持ちになります。

 

というのも、今から30年前のゲームセンターは、ともすれば有り金をすべて取られて身ぐるみはがされるような危険性をはらんだ狂気と退廃の空間であり、同時に最新の電子遊戯の見本市であり、アングラな魅力あふれる場所だったから。今のゲーセンには、あの頃の雰囲気は微塵もありません。

 

 

 

「3組のバビンスキー(友人仮名)が、ゲーセンでカツアゲに遭ったってよ!」

 

小学生だった私のもとには、毎日、このような知らせが舞い込んできました。そして友人たちと語り合ったのです。「また犠牲者が出たか…!」「このままじゃ全滅だ…!」 などと。

 

何の犠牲かって?

 

不良たちの犠牲です。

 

不良という生き物は、粗悪にして粗暴、暴力ですべてを解決するような亜人類。学ランにボンタンという謎の格好をして、リーゼントという変な髪形を愛していると聞きます。私の友人の友達の高校生のお兄ちゃんがまさにそんな感じで、弟の顔面にすぐに本気のパンチをくれる冷酷非道な行ないを見てきた私としては、「あんな感じか」と想像がついたものの恐怖に震えました。

 

その頃の私は、まだゲームセンター童貞であり、ゲームセンターに行ったことがなかったのです。

 

今では、すっかり明るくなったゲームセンターですが、私が小学生当時のゲームセンターは、外からは中が見えないように密閉されているアングラ感あふれるもの。たまに開いたドアから出てくるのは、ヤ○ザ(に見えた大人)か不良。ちょっとだけ見えた店内は、暗くタバコの煙が充満していましたが、赤や緑といったゲームから放たれる明かりが照らされていました。

 

あの雰囲気に似ているものを現代で探すとしたら、場末のピン●ロやオッパイ●ブ、チャイニーズエ●テあたりでしょうか。健全な人間が足を踏み入れていいところとは到底思えません。

 

が、

 

私はゲームセンターへの興味を押さえられませんでした。なぜなら、ゲームセンターは最新のゲームが並んでいるところであり、そこにあるのはファミコンよりもたくさんの色やスプライトが使われている面白そうな作品ばかりだったからです。

 

「僕、今日、行ってくるよ」

 

私は、給食の時間に友達にそう宣言しました。「マジかよ!」「正気か!」「考え直せ!」。友人たちは止めてきます。そんな中、「やめろ、ジョーンズは本気だ」と、みんなを制したのは、クラスメートのプリスキン(仮名)でした。

 

プリスキンは自称潜入の天才。小学生の立ち入りが禁止されているあらゆる店への潜入に成功してきた歴戦のツワモノ。新年早々ゲームセンターでカツアゲにあってお年玉を全額取られた事件、国道沿いにあるアダルトショップでのビニ本を購入など、数々の逸話を持つ生ける伝説です。

 

「ジョーンズは今日、“男”になると決めたんだ。そうだろ?」

「ああ、そうだ」

「だったら、祝ってやろうじゃないか。男の門出を!」

「俺はこの目で確かめなければならない。本物の“グラディウス”を!」

「みんな、乾杯だ!」

「アーケード版のグラディウスをこの目で見てやるんだ!」

 

男子たちがプリスキンと私を中心に、やんややんやと三角パックの牛乳を高らかに掲げる様子を、クラスの女子たちは冷ややかな目で見ていました。

 

放課後。

私はチャリンコに乗って隣町にあるゲームセンターを目指しました。電車で3~4駅先にあるのですが、小学生に電車賃は高価なもの。そんなお金があればゲームに使いたかったので、交通費を浮かせたかったのです。

 

自転車を必死にこぎながら、私はプリスキンからもらった、いくつかのアドバイスを思い返していました。

 

「不良はいつもゲームセンターにいるわけじゃない。時間帯に気をつけろ」

「万が一、不良と出会っても、決して目を合わせるな。死ぬぞ」

「不良を確認したらすぐに逃げろ。絶対に戦おうとはするな」

「不良は仲間を呼ぶ。呼ばれる前に必ず逃げ切るんだ」

「取られてまずいものは、ゲームセンターにはゼッタイ持ち込むな」

「大人には頼るな。信じられるのは自分だけ」

「日没までに店を出ろ。日没後はヤツらの時間だ」

「何かあったらすぐに連絡するんだぞ。周波数は180.45だ」

 

私がゲームセンターに行く理由。それは、幼馴染であるフリーズ(名前)があれだけ絶賛していたアーケード版『グラディウス』を自分の目で確かめに行くこと・・・と見せかけて、本当の目的は別のところにありました。

 

私は聞いてしまったのです。カツアゲにあったバビンスキーから。

 

「あのゲームセンターには、すんごくエロいゲームがあるズラ…!」

「女の子が、どんどん、服を脱いで、ハダカになっていくズラ…!」

 

な、なんだってー!?

確かめないわけにはいかない。私の中に、純粋な知的好奇心が湧き起こりました。純粋な好奇心が私にペダルを漕げと命じるのです。ぶっちゃけ、グラディウスなんて、アルキメンデス版でもう正直ウンザリでした。

 

ぜぇぜぇぜぇ…。

かくして私は駅3~4駅分の距離を自転車で走破し、隣町のゲームセンターにたどり着きました。しかし、ここで誤算が1つ。

 

「日が沈む…!ヤツらの時間が来てしまった…!」

 

自転車での移動に時間がかかりすぎたため、太陽がまさに沈もうという時刻になってしまったのです。(当たり前だろ)

 

引き返すか?

ここまで来て何もしないまま帰るのか?

 

悩んだ末、私はゲームセンターに潜入することを決意しました。虎穴に入らずんば虎子を得ずってね。しかしそのときの私は、まだ、ゲームセンターがどれだけ危険なところなのか、その本当をヤバさを分かっていなかったのです。

 

ギイィィィとドアを開けて、こっそり中をのぞいた時。突如、私の目に入ったのは、私の方に飛んでくる謎の物体。それは円盤。アダムスキー型の円盤でした!

 

(後編につづく)