ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



【レトロゲームの話】『グラディウス』と、アルキメンデスと、集団催眠の話。

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『グラディウス(FC版)』は、1986年4月25日に発売されたファミコンソフトで、ゲームセンターで大人気だった『グラディウス』をファミコンに移植したものです。

 

当時の私はゲームに本当に疎く、ゲームにくわしい友人たちが「家でグラディウスができるなんて!」と喜んでいる様に、ただただ圧倒されるばかりでした。

 

 

 

「ジョーンズさん!グラディウスですよ!」

 

幼馴染の1人フリーズ(仮名)が、わざわざ私の家にソフトを見せにきたのでした。4月25日は、フリーズの誕生日。『グラディウス』は彼のどうやら誕生日プレゼントのようでした。

 

フリーズは市会議員の息子で、あんまり勉強はできなかったため、大学生の家庭教師がつけられていました。しかし、人選を間違ったらしく、その家庭教師は見た目はイケメンなのですが筋金入りのオタク。名前は仮にザボーンとしておきましょう。

 

そのザボーンはフリーズにゲームやアニメといった悪いことばかりを教えたため、フリーズは相変わらず勉強ができないまま、子どもが好きそうな悪いことにやたら精通する子どもに育っていました。

 

余談ですが、ザボーンがフリーズに教えた教養の中でもっとも後の人生に悪影響を与えたものは、『うる星やつら』『ミンキーモモ』でした。

 

ザボーンは見た目は好青年だったので、市会議員だったフリーズパパとママからの評価は高く、「教育」と称していろんなところへ社会科見学していました。しかしその多くは、ゲームセンターだったり、アニメイトだったり、当時晴海で開催されていたコミックマーケットだったりしたのです。

 

で、

 

フリーズは社会科見学で知った知識を、なぜか私に報告してくるのでした。そんな報告の中に、アーケード版『グラディウス』もありました。

 

「今日は、本当にすごいゲームに出会いましたよ!」

「宇宙なんです!神秘なんです!」

「上にも下にも地面があって。すごいんです!」

「アモイがいましたよ!アモイ!」 ※注:モアイのこと

「レーザーが凄く強くてすごくキレイなんですよ!」

 

・・・さっぱり伝わってこない。

とにかく、フリーズは初めて見た『グラディウス』に感銘を受けたようで、しばらくは『グラディウス』の話しかしないほどでした。

 

ところが、私の住んでいる町にはゲームセンターなんてものはなく、ゲームセンターがあるのは3~4つ先の駅の話。小学生が電車に乗るほどお小遣いはありませんでしたし、うわさに聞く『グラディウス』を私たちは実際に観ることができなかったのです。ここまでが1985年の話。

 

で、時は1986年へ。フリーズは誕生日プレゼントに『グラディウス(FC版)』を手に入れ、「見せてやるよ、宇宙ガ マルゴト ヤッテクルゼ」と誘いに来たのです。

 

「やれやれ、しょうがないから付き合ってやるよ」と、ライトノベルの主人公のように私はフリーズの家に行きましたが、内心はすごく楽しみにしていました。フリーズを1985年にあれだけ虜にしたゲームはどんなものなのか。見せてもらおうか、コナミの新作ゲームの真価とやらを

 

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結論から言うと、『グラディウス(FC版)』を見ても、私はあまりグッと来ませんでした。後から知ったことですが、『グラディウス(FC版)』はアーケード版に比べるといろいろパワーダウンしていたのです。

 

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フリーズもそれを感じたらしく、「あれー」と言ってました。かなり鼻白む感じで、その日はフリーズ宅を後にした私でした。

 

翌日、学校に行くと、友達何人かがフリーズを囲い込んで揉めていました。「どうしたの?」と聞くと、フリーズが激推ししていた『グラディウス』を誕生日プレゼントに買ってもらった他の子どもたちが「つまらないぞ!」とフリーズに抗議していたのです。

 

フリーズはアーケード版『グラディウス』に心酔していたため、宣教師のように『グラディウス』の良さを説いて回っていたようで、そのツケがまわってきたというところでしょうか。

 

フリーズは怒れる民衆を前に言いました。

 

「グラディウスは面白いゲームなんです。それは間違いないのです。それを面白くないと感じるのは、プレイしているあなたたちが未熟なのです。放課後におもちゃ屋に行きましょう。そこで、グラディウスがどれだけ人気なのかをお見せして差し上げますよ」

 

といった、『美味しんぼ』の山岡さんみたいなことを宣言。放課後、私たちは10人くらいで、町のおもちゃ屋に出かけることになりました。

 

フリーズのシナリオはこうでした。「グラディウスは人気作だから売れているはずです。おそらく次にいつ入荷するかも分からないはず。その様子を見せて、グラディウスの凄さをヤツラに思い知らせてやりましょう」。うん。すごく遠まわしであり、本質からズレている作戦な気がします。

 

で、おもちゃ屋に着き、ファミコンカセットが置かれているショーウィンドウを見たとき、思わず吹き出してしまいました。『グラディウス』が山のように売れ残っていたからです。

 

おもちゃ屋のおばさんはブツブツと呪いのように呟いていました。「問屋に騙された…」と。

 

面目丸つぶれのフリーズはおばちゃんに、「なんかファミコンのグラディウスはなんかおかしかったけど、本当のグラディウスはもっと違いますよね!?」と、謎の証言を取ろうとしていました。

 

するとおばさんは、「そういえば…」と心当たりのあることを話し始めました。

 

「『アルキメンデス』って、カップ麺があるだろ。あれの懸賞になっているのもファミコンの『グラディウス』らしいけど、市販のやつとは違うらしい。景品になるくらいだから画面もすごくキレイで、坊やが探している『グラディウス』は、きっとそれかもしれないね!」

 

おおっと、子どもたちから歓声が上がります。

 

「そしてホラ、その『アルキメンデス』なら坊やたちのすぐ後ろにもあるから、買っていきな!」

「はいっ、そうします!」

 

『グラディウス』の在庫の赤字で頭を悩ませているおもちゃ屋のおばさんの巧みな話術にはまった私たちは、なぜか全員1個ずつ『アルキメンデス』(たしか200円くらい)を買い、それはなぜか習慣になって、しばらくその店で『アルキメンデス』を買いつづけ、みんなで『アルキメンデス版グラディウス』を手に入れようと躍起になったのでした。

 

やがて誰かが懸賞を当てて、みんなでそいつの家に行ってプレイを見たら、驚くくらいフツウの『グラディウス』(パワーカプセルがアルキメンデスになっているくらいの違い)で、「なんか、もう、グラディウスはいいや…」という空気になってしまい、『グラディウス』のことは禁句になってしまったのでした。

 

『グラディウス(FC版)』発売の影には、このような小さな悲劇も生まれていた…という話です。いい作品なんですけどね。