ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



【レトロゲームの話】『ヘラクレスの栄光』と、イケメンと、ヘラクレスの凌辱の話。

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『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』は、1987年6月に発売されたファミコン用RPGです。世の中は、空前のRPGブームが吹き荒れており、そのような中で、ドラクエとの差別化を図られて制作されたこの作品は、かなり尖っていてイカす作り。

 

しかし、エッジのきいたものには、分かる人と分からない人がいるというのは、世の常なのです。

 

 

 

マイケル(仮名)と私は、幼稚園がいっしょで、家も近い幼馴染。マイケルの家は結構裕福で、お父さんはジョージ・ルーカスみたいな身なり。お母さんも和美人で、マイケル自身も整った顔立ちをしており、しかも頭も良く、スポーツも万能という完璧超人

 

かたや私は、勉強はそこそこできたものの、顔面偏差値は並であり、スポーツはどちらかというと苦手。オタク気質のネクラであり、二流市民といったところ。

 

マイケルは当然女子にもモテて、クラスでも学級委員を任され、先生からも生徒たちからも一目置かれている。そんな存在でした。

 

ある日のこと。

 

休み時間に隣のクラスのマイケルが私のもとにやって来ました。なんでも新しいゲームを買ったから、遊びに来ないか?というのです。ソフトの名前を聞くと、『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』というではありませんか。

 

実は、この作品、私はかなり気になっていました。テレビ番組のファミっ子大集合で紹介されていたのですが、古代ギリシャを舞台にヘラクレスがハデスにさらわれたヴィーナスを救出するというストーリー。戦闘中に敵モンスターがアニメーションする(中ボス以上のみ)といった先進的な試みがされているだけでなく、ヘラクレスにまつわる12の功罪をモチーフにした敵が出てくるらしいというウワサ。

 

ドラクエII(の情報)に飽きかけていた私にとって、大人の雰囲気が漂う『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』には、ファミコンRPGの新しい境地を切り拓いてくれそうな予感がありました。二つ返事で了承し、私は放課後にマイケル宅に訪問したのです。

 

しかし、誤算がありました。

 

マイケルは私だけを読んでいたわけではなかったのです。隣のクラスのイケてる男女4人も呼ばれていました。

 

私は努めてそういうことを気にしない風を装いましたが、居心地の悪さを感じずにはいられません。こっそり、(マイケルはいい奴なんだけど、こういう空気を読めないところがあるよなぁ)と、思いました。

 

「こういうゲームなんだよ!」と、マイケルがゲームをプレイしながら紹介し始めます。どうやら昨夜のうちに、ある程度のプレイはしていたようです。

 

ペガサスが斜め横にスクロールするカッコイイ演出のオープニング。ゲームスタートすると、ドラクエとは異なり、ワールドマップとタウンマップが一緒になっている作り。お店の背景と店主が表示されるショッピング。

 

なかなか面白い作りをしているじゃないか。面白い。これは、ちょっとクセがあるけど、面白そうだぞ。と、私は思いました。

 

「ちょっ、ギリシャに大根が売ってるって、おかしくね?」

 

言い出したのは、隣のクラスのサラサラヘアー男子、マーベリック(仮名)。親は会社社長、ルックスもイケメンだ。マーベリックのツッコミに、周りの女子たちもつられて笑った。マイケルも「ははっ、たしかに大根はおかしいよね~(笑)」と、みんなに合わせて笑うことに。

 

ツッコミがウケたことで調子に乗ったのか、マーベリックはマイケルのプレイの中で面白いポイントを見つけるたびに、「ギリシャになんでとんかつが売ってんだよ!」「"とりにく"のほうも調理しろよ!」「タソスの入江ってどこだよ。分かんねー!」「パッケージのヴィーナスって、疲れたホステスみたいじゃね?」というようにツッコミを入れて、女子たちはそのたびに大ウケで、マイケルもアハアハと調子を合わせて笑っていました。

 

私は(マーベリック、マジ、うぜぇ)と思っていましたが、口に出して、何も言えませんでした。

 

マーベリックと女子たちが帰った後、マイケルの家で私はマイケルと二人で、『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』をプレイし続けました。

 

マイケルがポツリと言います。「たしかに、ちょっとヘンなところはあるんだけど、いいゲームだと思うんだけどなぁ…」

 

私は答えました。「これ、僕は面白いと思うよ」「ジョーンズなら、そう言ってくれると思ったよ」。テレビ画面では、鉄のイノシシが、カシィン!と格好いいSEを出して、アニメーションしていました。

 

この日が1つのターニングポイントだったようです。

 

「ツッコミ芸が面白い」ということが女子たちに広がり、マーベリックの隣のクラスでの人気は急上昇。一方、マイケルは「ヘンなゲームやってる」というウワサを受けて、人気が下がってしまったとか。よくは知りませんが、ハイソサエティの面々からのお誘いがぐっと減ってしまったそうです。

 

その代わり、私が彼の家に呼ばれることは多くなり、二人で『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』をクリアするまでプレイしたのでした。

 

マイケルの家にはいろいろ珍しいものがあって、マッキントッシュの古いPCとか、なんかすごそうなステレオとか、ベータマックスとか、本当にいろいろありました。

 

そのベータマックスで初めて観せてもらったマイケル曰く「最高に面白い映画」が、『レイダース 失われた聖櫃』だったりするわけで。私の人生に少なからず影響を与えた友人の1人なのでしょう。