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『忍者くん 魔城の冒険』と、美少女と、おウチにお呼ばれの話。(前編)

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『忍者くん 魔城の冒険』をご存知ですか?この作品は、UPLが開発したアーケードゲーム。縦4画面のマップを縦横無尽に飛び跳ねて敵を倒していく、忍者らしい空中戦がイカす作品です。ファミコン版はジャレコから発売されました。完全移植ではありませんでしたが、雰囲気は伝わる出来だったと記憶しています。今回は、そんな『忍者くん 魔城の冒険』にまつわる思い出を語らせてください。

 

 

 

 

時は、西暦198X年!

これは、俺が小学生の頃の話。苦労してファミコンを手に入れた私は、スクールカーストにおいてようやく『市民』に昇格を果たしていました。

 

『市民』って何ぞや?という疑問にお答えしましょう。いつの時代もそうですが、子どもの世界は大人社会の縮図なのです。小学生ならではのヒエラルキーがクラスの中には存在しており、上流階級(上位2割)市民階級(中間6割)下層階級(残り2割)といった階層ができていたのでした。俺が小学生だった頃は、ファミコンブームによって一気にテレビゲームが子どもたちの間に広まり、アニメ、マンガとともに共通の話題となり、ファミコンを持っている」がステータスの1つに。早い話がファミコンを持っているとクラスの中で高い地位につけた感じだったのです。

 

ちなみに、親が間違えてセガSG-1000を買ってきちゃった子は、スクールカーストの中では、ファミコン持っている子よりもちょっと下のポジションになっちゃっていました。しかし、セガハードを持っていた子は、30年後、大体出世をしているので、世の中分からないものですね。

 

話は元に戻ります。

 

これまでファミコンを持っていなかった俺は、映画『スターウォーズ』に例えると、砂の惑星タトゥイーンで遠い銀河の星々に憧れを募らせるルーク・スカイウォーカーみたいなものでした。しかし、ファミコンの存在はミレニアム・ファルコン号であり、カセットはハン・ソロ、ACアダプターはチューバッカ。一気に遠い銀河の星々にまで旅することができる…これくらいの可能性の広がりを感じていました。80年代の例えが多くてすみません。んで、これまでの鬱憤を晴らすかのように、俺はファミコンの話題でクラスメイトたちと親交を深めていたのです。

 

そんなある日、ファミコン仲間のビッグス(仮名)とウェッジ(仮名)と『イー・アル・カンフー』について語り合っていると、俺に話しかけてくる人がいました。

 

「ジョーンズくん。ゲームにくわしいんだよね?」

 

それはクラス1の美少女、キャリー(仮名)でした。キャリーはガチの美少女であり、映画『キック・アス ジャスティスフォーエバー』時のクロエ・グレース・モレッツちゃん並のキュートガールでした。当然、彼女はスクールカーストでは上流階級です。私とビッグスとウェッジは思わず「おっふ」と唸りました。

 

「『忍者くん』ってファミコンゲーム知ってる?難しくてよく分からないの。教えてくれないかな。今日ウチに遊びに来ない?」

 

「お呼ばれ」である。

 

 キャリーの家は子どもの目から見てもお金持ちであり、女子の中でもキャリーの家に呼ばれた子は少なかった。(ごめんね。ウチの親うるさくて、あまり友だち呼べないの)と彼女が言っているのを聞いたことがありました。ゆえに、これはレア中のレアイベント。しかも、彼女の方からのご指名です。どれくらいすごいことか、分かりやすく『課長 島耕作』で例えると、島が憧れていた中沢喜一さんの35人ごぼう抜き初芝電産社長任命と同じくらいの快挙です。

 

「い、いいぜ」

 

冷静さを務めて、俺はうなづきました。「じゃあ、放課後ね」という彼女のバイバイは、殺人級の可愛さ。ビッグスとウェッジのほうをみると、2人の目は

 

ビッグス (俺も行きたい!口添えしてくれないか?)
ウェッジ (俺たち、友達だよな!?)

 

と訴えかけていましたが、俺は無視しました。

 

かくして、私はクラス1の美少女といっしょに下校することになり、そのまま彼女のウチに訪問することになったのです。目の前にそびえるのは白亜の大きな家。重厚そうなドアはもちろんのこと、ドアの取っ手から意匠が施されています。しかし、このときの俺は知りませんでした。この大きな家で、この後、私が魔城の冒険を自身で体験ことになろうとは…。

 

クツを脱いで、「お邪魔しまーす」と挨拶すると彼女は言いました。

 

「気にしないで。今日、家に誰もいないから」

 

えっ、それって、どういうこと?チャンスはチャンスだけど、一気に非モテゲーム男子にはキャパオーバーすぎるシチュエーションに、私は戸惑いを隠せません。どうなる、どうする、ジョーンズ少年!

 

後編につづく