ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



統合失調症の母親との同居が、たった3日で崩壊した昔の話。

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こんにちは、レトロゲームレイダース/ジョーンズです。
1人の統合失調症患者によって、俺の家族が崩壊しかけた話をします。正論だけでは生きてはいけない。もっといい方法があったかもしれないけど、大切なものを守るために、切り捨てるという判断をせざるを得ないこともあると思う。

 

 

もう3年くらい前になるんだけど

うちの母親がくも膜下出血で倒れ、そのあと、特に何の障害もでない状態で退院した後、奥さんから「危ないから同居したほうがいいんじゃないの?」という提案があった。

 

俺の家と母親が住んでいる実家は同じ市内にあって、クルマで15分くらいで通える距離だ。マイホーム購入には、来たるべきこういう事態に備えて、なるべく近くに住んでおこうという思惑もあった。同居はトラブルを生む。特にずっと家にいる奥さんに負担を強いる。だから同居は最終手段であり、なるべくしない選択肢と考えていた。しかし、奥さんはそれでもいいという。妻の務めだからと。本当にいい奥さんである。なので、あくまでも暫定的な手段として、退院後、1ヵ月という期間限定で同居を試みることにした。上手くいけば、長期化も検討しようという考えだった。のだが、

 

「お前、この家は壁が薄いんじゃないかい?」

 

会社から帰ってきて夕食を食べているとき、母が声を潜めながら言ってきた。「どうしたの?」と聞くと、「どうもこのへんの人たちは好奇心が旺盛なようで、知らない人間(ウチの母親のこと)が来たので、どんな様子なのか、様子を見に来ているようだ」と言うのだ。「いつの話?」と聞くと「昼間リビングにいたとき」。奥さんは日中パートとして働きに出ているので家には母1人しかいないのだ。「どうして様子をうかがっているって分かるのさ」と聞いてみると、「ヒソヒソ声が聞こえる。本人たちはコソコソ話しているつもりだと思うのだが、私は耳がいいので聞こえる。全部何を言っているのかは分からないが、あそこまで聞こえるのは壁が薄いからだ」と言うのだ。「たしかに防音がしっかりしている機密性の高い家ではないから、外の声は聞こえるかもしれないけれども、様子を見に来たりはしてないと思うよ。考えすぎだよ」と伝え、母も「そうかもしれないね」と納得した。

 

しかし、母の妄言は翌日悪化した。

 

同じく夕食を食べているときのこと。「お前、ここ、引っ越したほうがいいよ」と母が言い出した。「どうして?」「監視されている。何人にも」「ウソでしょ?」「ウソじゃない。たしかに視線を感じるし、小声で話している。お前、近所の人たちに笑われているよ」「そんなアホな」「世の中にはそういうヒマな人たちがいるんだよ。何組かで家のあちこちに聞き耳を立てて、みんなでお前のことを笑っているんだ。異常だよ、この地域は」

 

「おふくろ、その声は今も聞こえるの?」「今は聞こえない。たぶん、ばれないようにしゃべっていないだけ。じっと身を潜めているんだろうよ」「聞こえるのは昼間だけ?」「いや、夜も聞こえる。それで目が覚める」「そんなことないでしょ」「普通に考えたらそうだけど、ここの人たちは普通じゃないんだろうね」

 

そう、統合失調症によくある幻聴というやつである。「監視されている」という被害妄想付きだ。まさかここまでだったとは、正直驚いた。言うまでもなく、母の幻聴である。なぜなら、俺が買った分譲地はみんな共働きであり、このあたりは昼間どこも留守なのは確実だからだ。当然、1軒の家をずっと監視するヒマなんてない。

 

しかし、母の耳には始終聞こえるのだ。誰かのささやく声が。監視者がウワサをする声が。それは母にとっては事実なのだ。常識的に考えてあり得ないことでも、確実に聞こえている事実があると人はそちらを信用してしまうものなのだ。

 

何が辛いかというと、こちらには、それが母の脳が作り出した幻聴であるということが分かっていることだ。ウワサされている話は、母の脳が作り出したものであり、母が表に出していない母の本音なのである。

 

「同居し始めた奥さん(母親)は頭がいいから、こちらのことに気がついているみたいだ」「ああいうよく出来た人と同居すると、奥さん(俺の妻のこと)は比較されてさぞ大変だろう」「あそこの奥さん(妻のこと)は肉体労働しかできない」「あの女(妻のこと)は男に媚びを売るのだけは上手い」などなど。母がこのような悪口を言っていると、俺と奥さんに訴えかけてくる内容は、すべて母が思っていること。ここには書けないことまで含めたこの母の本音爆発によって、奥さんは大きなショックを受けてしまった。信頼関係の崩壊である。

 

俺は母にICレコーダーを与えて、声が聞こえているときに声の録音をさせた。いっしょに確認をするがまったく声は録音されていない。次に、統合失調症になった人の体験談が書かれてた本を読ませた。起きていることを客観視させた上で、聞こえてくる声が幻聴であることを伝えた。当然、納得しない。だから、近くのビジネスホテルに宿泊させた。ホテルでも声は聞こえたそうである。それで母はようやく納得した。

 

同居生活は3日で終わった。

 

母の自己評価が異様に高いことと、奥さんのことをあらゆる点で快く思っていないこと、俺自身への不満、孫もそこまで可愛いと思っていない…など、いろいろなことが分かり、俺たちには多大な疲労感だけが残った。

 

母には実家でのひとり暮らしに戻ってもらうことにした。そして、並行して介護付き有料老人ホーム探しがはじまった。母は自分の病気のことを自覚し、ホームに入ることが最適だと考えたのだ。

 

そんな幻聴に悩まされる日々の中、ワラをもさがる思いで友人に連れて行かれたキリスト教の集会で、母は神秘体験をする。そして幻聴から解放された。「楽になった!」というこの体験によって母はキリスト教に入信することになり、息子夫婦である俺たちに新たな問題を量産しつづけるのだった。

 

もうため息しか出ないよ(ひえー)。