ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



『バンゲリングベイ』は、クソゲーなどではなく、早すぎた名作だった話。

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この記事は、ハドソンから発売されたファミコン用ゲーム『バンゲリングベイ』について、プレイしたことがない方にはプレイしたくなる、プレイ済みの方にはもう一度プレイしてみたくなることを狙った記事になります。

 

 

 

時は西暦1985年。『バンゲリングベイ』というファミコンゲームが発売されました。この作品は元ファミコン少年少女の間での知名度が非常に高いのですが、「面白くない」という思い出とともにクソゲー認定している方も多い不遇の作品です。

 

大人のレトロゲーム遊びは「童心に帰る」だけではもったいないので、大人として育った懐の深さ(BMI35以上)と見識の広さで、かつて許せなかった作品を理解してみようと試みる、新しい価値を見つけてこそではないか。私はそう思うわけです。

 

そんなわけで、今回は『バンゲリングベイ』の真の面白さについて、語っていきたいと思います。

 

どんなゲームだったか

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空母をスタート地点に、自機であるヘリコプターを操って、湾岸地帯に点在している敵の工場を攻撃していくというもの。ところが、敵の滞空攻撃は激しく、すぐやられてしまう。工場爆撃に必要な爆弾には使用回数があり、なくなったら空母に戻って補充しなければならない。しかも空母は勝手に移動しているので、前にいたところに戻っても見つからない。「何をすればいいのか、よく分からない」。たしかに1985年当時のファミコン少年少女にはアピール要素が弱い作品だったことは否めません。

 

しかし、私は声を「大」にして言いたい。『バンゲリングベイ』は軍人が活躍するハリウッド映画級に熱いゲームなのだ、と。

 

実は熱いストーリー

時は西暦198X年。カリブ海で行なわれていたアメリカ海軍第二艦隊の演習中、突如、謎の次元侵略者「バンゲリング帝国」の侵略を受けてしまう。バンゲリング帝国は、カリブ海と一部の陸地に次元断層をつくり、内部から脱出することも、外部から進入することも不可能な位相空間にしてしまう。

 

さらに恐ろしいことに、謎の発光を浴びた第二艦隊の兵士たちはバンゲリング帝国のサイバーダイン兵士に、多くの戦艦と新型のQ型戦艦もバンゲリング帝国の兵器と化してしまった。そればかりか、彼らは沿岸部の工場を支配し、本格的な世界侵攻のための兵器を生産し始めているらしい。

 

しかし、この空間に唯一取り残された者たちがいた。鉄の男といわれる司令官ジミー・ハーディ率いる最新鋭空母「R・レーガン」。しかし、初期の混乱により、いまや使用可能な兵器はたった5機の新型攻撃ヘリコプターAH-16シーアパッチのみ。絶望的な状況にも関わらず、空母「R・レーガン」のクルーたちは戦うことを選択する。シーアパッチ単機でバンゲリング帝国領に進入し、敵の攻撃をかいくぐり、敵の製造工場を壊滅させる。

 

勝ち目のない戦いであることは分かっていた。しかし彼らは戦う。なぜなら、1つでも多くの工場を破壊すること、1秒でも長くやつらの注意を自分たちに向けることが、バンゲリング帝国の地球侵略を足止めすることになるからだ。

 

この勇気ある兵士たちの戦いは、後に歴史に刻まれることになる。バンゲリングベイの名とともに。

 

早すぎたゲームデザイン

バンゲリングベイ』は、「リアルタイムストラテジー風シューティング」というべきゲームです。

 

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100画面からなる広大なマップ上に点在する6つの島にあるバンゲリング帝国の工場破壊が目的です。しかしこのゲーム、「時間」という概念が存在し、時間の経過とともに、帝国工場は強化されていきます。シーアパッチに搭載されている対地ミサイルは9発。初めのうちは6発で工場を破壊できるのですが、時間の経過とともに工場の耐久性が上がっていき、一度空母に補給に戻らなければ工場破壊ができないという事態になってくるからです。

 

さらにいえば、時間が経つごとに敵の兵力も増してきます。時間が経てば経つほど、こちら側が圧倒的に不利になっていく。つまり、大きすぎる戦力差の相手には、先手必勝、短期決戦という戦争のセオリーが表現されているのです。しかし、戦争において大きな戦力差はそうそう覆るものではありません。本作においてもそれは同じ。そのため、初見でのクリアはほぼ不可能。早い話が難易度が相当高いわけです。

 

唯一の勝機は、これがゲームであり、くり返しプレイができること。こちら側は、何度もやられながらプレイをくり返し、マップと工場と敵の配置を覚え、その記憶をもとに悲劇をくり返さないように、戦いにのぞんでいきます。まるで何度も時間をさかのぼってやり直していく、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の世界。何度も同じ世界線を行き来して、唯一の勝利の道、シュタインズゲートを見つける戦いこそが、『バンゲリングベイ』なのです。

 

勝機はあります。例えば、敵のレーダーはこちらを探知して飛行部隊を呼び寄せる厄介な存在ですが、先に攻撃して破壊してしまうと、敵の増援は現れません。つまり、レーダーと工場の位置をきちんと把握しておくだけで、かなり有利になるということなのです。そう、勝利への希望は残されています。

 

見事、6つの工場を破壊するとエンディング…と思いきや、今度はバンゲリング帝国の時間干渉によるタイムパラドックスなのか、スタート地点に戻り、帝国戦力が強化されたステージ2がスタート。そう、空母「R・レーガン」クルーたちとバンゲリング帝国の戦いは果てしなく続くのでした。

 

人類とバンゲリング帝国の戦いはつづく

本作を作ったアメリカのブローダーバンド社の作品は、バンゲリング帝国と人類が戦うという同一世界観の作品が存在し、それらはファミコン初期に移植されています。それが、ジャレコ販売の『チョップリフター』とハドソン販売の『ロードランナー』です。

 

『チョップリフター』はバンゲリング帝国に捕らえられた兵士の救出作戦という物語の背景があり、『ロードランナー』はバンゲリング帝国の地下要塞にエージェントが潜入するという背景があります。この3つはバンゲリング帝国三部作といわれています。

 

関連性や物語の詳細は作中内で語られないのですが、むしろ、そのほうが想像が膨らむので楽しいですね。

 

この記事が、あなたの『バンゲリングベイ』の評価をあらためるキッカケになっていただければ幸いです。