ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



『スターソルジャー バニシングアース』は、ストレス発散に最適であることと、日本人の美学的な“一瞬にかける閃光”が眩しくアツイ話。

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この記事はニンテンドウ64シューティングゲームスターソルジャー バニシングアース』の面白さを、まだ未プレイの人向けに伝える内容です。すでにプレイ済みの方にとっては読み応えがないかもしれませんが、ご了承ください。

 

 

 

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知っている人は知っている。知らない人は全然知らない。そう、ニンテンドウ64には『スターソルジャー』の続編が発売されているのです。それが今回ご紹介するソフト『スターソルジャー バニシングアース』なのでした。


スターソルジャーって何?

それは、30~40代の元ファミコン少年少女にとって「夏の思い出」そのもの。『スターソルジャー』とは、1986年6月にハドソンから発売されたファミコン用のシューティングゲームです。1980年代には、現在盛り上がっているeスポーツの前身といえるゲーム大会が開催されており、『スターソルジャー』は「第2回TDK全国ファミコンキャラバン」のスコアアタックコンテストに使われた作品でした。

 

この真夏に全国各地で行なわれたイベント(通称キャラバン)での優勝を目指して、ファミコン少年少女たちは『スターソルジャー』を購入し、高得点を獲得するために研鑽を積んだのです。日本全国65ヵ所で予選大会が行なわれ、参加総数は10万人といわれており、この数字を見れば、気温だけでなく、どれだけアツいイベントだったか、お分かりいただけるのではないかと思います。

 

ちなみに、高橋名人知名度を一気に押し上げたのが、このイベントでした。

 

そんな公式大会で使用された『スターソルジャー』とはどんなゲームだったかというと、前年にハドソンがテクモアーケードゲームを移植したファミコン版『スターフォース』の流れを汲んだ、空中を飛ぶ敵と地上建設物を破壊しまくって点数を稼ぐというシューティングゲームです。

 

大人気の『スターソルジャー』でしたが、ファミコンではその後続編が出ることはなく、PCエンジンのほうで『スーパースターソルジャー』⇒『ファイナルソルジャー』⇒『ソルジャーブレード』とシリーズを展開させていきます。

 

前置きが長くなりましたが、今回紹介する『スターソルジャー バニシングアース』は、前述したPCエンジン用ソフト『ソルジャーブレード』の次に出た、ニンテンドウ64で出したばっかりに知名度の低くなってしまったスターソルジャーです。


ぶっちゃけ、見映えも印象も悪い

ニンテンドウ64のソフト全般に言えることですが。64のソフトは静止画像が魅力的ではありません。はっきり言って、同時期に出ていたライバル機プレイステーションセガサターンに比べるとグラフィックで見劣りするものばかりです。しかし私は声を大にして言いたい。ボリュームをマキシマムにして言いたい。「64ソフトの魅力は見た目じゃない」と。

 

アイドルと同じです。美形の女の子は華があるし、そこにいるだけで絵になります。しかし応援対象としてはどうか?というと違います。センターポジションよりもずっと後ろ、バックダンサーのようなところで、テレビのフレームに少し映るかどうかというところで、一生懸命頑張っている二軍の子のほうがアツい。よく見れば、その子のダンスや歌唱力は決して一軍の子たちに引けを取らない。そういうことってあるじゃないですか。64のソフトってそんな感じかなと思っています。(双方にとても失礼なことを言っている気もしますが 笑)

 

で、『スターソルジャー バニシングアース』の話ですが、64ソフトのご他聞にもれることなく、見た目で大きく損をしている子です。

 

はっきり言って、このへたれポリゴンで描かれたゲーム画面を見て購買意欲が湧くほうがどうかしています。ドットで描かれた秀逸な過去作を知っている立場としては心情としてツライ。しかしこれはシリーズ愛が試されているということ。そう思って購入に踏み切ったプレーヤーを待ち受けているのは、パクリ疑惑です。

 

タイトーシューティングゲームに『レイストーム』という作品がありまして。これがプレイステーション互換基板を使ったポリゴンシューティングの傑作なのですが、『スターソルジャー バニシングアース』は、オープニングデモといい、一部のボスの造形といい、攻撃方法といい、明らかに『レイストーム』をパクっています。「偶然似てしまった」なんて言い訳ができないレベルです。

 

ガッカリです。あのスターソルジャーの新作が他社ゲームをパクるなんて。しかし大丈夫。なぜなら、パクリ疑惑のある『スターソルジャー バニシングアース』の本編なんて、正直オマケだからです。


タイムアタックモードこそが、本編だ!

本作には、PCエンジンスターソルジャーシリーズから搭載されてきた【2分間】と【5分間】というタイムスコアアタックモードがあります。断言させていただくと、本作の本編はこのタイムスコアアタックモードであり、本編らしく鎮座するノーマルモードこそがオマケ。そう、劣化『レイストーム』はオマケなのです。

 

そう言ってしまえるくらい、タイムスコアアタックモードがべらんめえに面白いのが、『スターソルジャー バニシングアース』なのでした。

 

何が面白いのか。それは『スターソルジャー』の面白さを受け継ぎ、最新版にまでチューンナップされているゲームシステムに他なりません。

 

そもそも『スターソルジャー』の面白さとは何か。「一瞬でも早く多くの敵や地上物を破壊していくことでどんどん点数が増えていく」というシンプルなルールにあったと思います。

 

スターソルジャー』の敵は、「ステージ中の決まったところに出てくる」というプログラムがされておらず(一部の敵は例外)、「前の編隊が全滅すると、次の編隊が出てくる」という仕掛けとなっています。敵を倒したほうが点数が上がるわけですから、時間内に敵をたくさん倒すには、連射とスピード行動が求められるわけです。高橋名人は『スターソルジャー』の面白さを「西部劇のガンマンのように、敵が撃ってくる前に倒す爽快さ」と例えていますが、まさにその通りです。

 

本作も、やることは敵を倒すだけ。目指すのは高得点を取るだけ。ゲームがシンプルであるため、敷居はかなり低く、誰でもすんなりと始めることができる親切設計です。

 

しかし、高得点を狙おうとすればするほど、いろいろ追求していくべきポイントが出てくる、まるで「沼」のような中毒性を『スターソルジャー バニシングアース』という作品は見せてきます。

 

1つが【自機のスピード設定】。ボタン1つで3段階の切り替えができます。遅いほうが敵の編隊とぶつかりにくくなるため、初心者のうちはローギアが基本です。しかし、点数を稼ごうとすれば、早く動くことが求められるため、誤爆につながりやすいハイギアを選ぶようになっていきます。

 

【コンボボーナス】というものもあります。これはわずかな時間内に敵を倒し続けると、撃破数に応じてコンボが組まれていくというもの。コンボ数は多ければ多いほど点数に反映されるため、コンボがなるべく途切れないように、敵を倒していく順序やタイミングにこだわりが出てきます。

 

【隠しアイテム:ゼク】の存在も忘れてはなりません。ゼクとは「Z」と書かれた地上ブロックであり、普段は見えないのですが、該当箇所に何発も当てていくと出現する隠しアイテムです。ゼクは最初に取ると10000点ですが、2回目は20000点、3回目は40000点と倍々で得点が増加。つまり、ステージ内のゼク全回収が、一定以上の高得点獲得には欠かせないわけで。ゼクの出現と破壊もゲームプレイに組み込んでいく必要が出てきます。

 

そして何よりもアツイのが、【タイムスコアアタック】。1プレイはたったの2分(もしくは5分)。ダラダラと何時間もプレイするのではなく、2分間モードであるなら2分間に、自分が持っているすべての集中力とテクニックを結集させる。それはゲームをプレイしながら、自分の限界への挑戦でもあります。

 

その追求の先に、プレーヤーの魂が爆ぜるような閃光を、あなたもきっと目の奥で感じるでしょう。深く、熱く、全力を尽くした2分間。そこにはスポーツを終えた後のような、セックスを終わった後のような、やりきったという充実感と、ストレスの発散と、心地よいけだるさの桃源郷が待っているのです。

 

現代社会に生きる、時間に余裕のない大人である私たちが、ひと時だけ少年時代に戻るためのアイテム。それがレトロゲームの魅力ではないでしょうか。

 

ただ点数を稼ぐというどうでもいいことに、とことん本気になる。だからこそ、この作品は発売から20年という時を経ても、いまだにプレイがアツイのだと思います。