ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



『ゼルダの伝説 時のオカリナ』によって、家でほとんど笑わなくなっていたメンタル負傷者が、笑顔をとり戻せた話。

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ゼルダの伝説 時のオカリナ』についての記事です。まだ未プレイの方に向けてプレイしてみたくなる内容を目指したものなので、すでにプレイ済みの方にとっては読みごたえがなかったり違和感があるかもしれませんが、お許しください。

 

 

 

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ゼルダの伝説』には、ある種の敷居の高さがあります。

 

そんな風に感じているユーザーは一定数いるようです。かくいう私もその一人でした。今回紹介する『時のオカリナ』以降、ある種の敷居の高さ、取っつきにくさが強くなった気がします。それは、64以降のゼルダシリーズのイラストが濃い目になったこと、プレイ済みユーザーがやたら熱を帯びて語るときのこちらとの温度差に引く…といったことが、私の場合は原因でした。

 

しかし、この場を借りて私は言いたい。ゼルダの伝説 時のオカリナ』は本当に面白い作品なのでまだ未プレイという方はぜひプレイしてもらいたい、と。そしてうらやましいです。未プレイということは、こんなにも面白い作品を真っ白な状態から楽しめる余地を残しているということに。

 

今回紹介する『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は、1988年に発売されたニンテンドウ64アクションRPGです。

 

本作の取っつきにくさの1つが画面です。ニンテンドウ64のポリゴン表示数は今のハードからすると「なんじゃこりゃ」というレベルであり、当時のライバル機であるプレイステーション用ソフトと比べてもテクスチャーの描画が劣っているように見えて、ぶっちゃけ、第一印象でソンをするタイプの作品です。

 

5対5の合コンで例えるなら、3~4番人気の女の子な感じ。しかし、合コン1~2番人気の女の子はちやほやされるのに慣れていることもありいろいろ面倒くさいのに対して、3~4番人気の女の子は自分をわきまえている結構いい子がいるのと同じように、『時のオカリナ』も触ってみると第一印象が間違っていたことにすぐ気が付きます。

 

時のオカリナ』がどんなゲームなのかを端的に説明すると、主人公のリンクを自由に動かすのが楽しく、自由にハイラルを駆けまわるのが楽しいゲームです。

 

感覚としては、子どもの頃にアスレチックを楽しんだ感覚に近い感じ。アスレチックって、丸太で作られたコースにどう挑むかがポイントであり、丸太がキレイかどうかなんて気にならないでしょう。本作もそれに似ていて、先に触れた描画のマイナスポイントはゲームプレイしていると驚くほど気になりません。『マインクラフト』のプレイ感覚にも近く、表示されているのはカクカクの地形でも、プレーヤーには別の風景が見えているのです。

 

64コントローラーはボタンがいっぱい付いています。本作のゲーム紹介記事を読むといろいろボタン操作についていろいろ長々と書かれていて「げっ」と思うかもしれませんが、ぶっちゃけ、気にしなくてよいです。適当にいじっていれば、感覚的に分かるボタン配置となっており、すぐに慣れます。基本的には「攻撃」「ジャンプ」「注目したい敵へのロックオン」の3つのボタンとアナログスティックでの移動だけでOK。あとは必要に応じてカンタンに覚えていけるのです。

 

次に、『時のオカリナ』がどんな作品なのか、シリーズのストーリー設定面から説明しましょう。本作は、ハイラルを脅かす魔の存在ガノン誕生の物語」です。まだガノントライフォースの力を手に入れる前、野心ある人間だった頃の話となります。

 

ゼルダの伝説』シリーズは、神々の叡智の結晶「トライフォース」と、「リンク」と、「ゼルダ姫」と、「ガノン」によって構成される物語です。どの時代のどの作品もトライフォースと、リンクという名前の主人公とゼルダという名前の姫が出てきます。ハイラルが魔の存在によって危機に陥った時、世界の法則が対抗勢力を生み出すかのようにリンクとゼルダもまたその時代に現れる。そんなくり返しが行なわれ続けている世界の物語が『ゼルダの伝説』シリーズなのです。その中で魔の脅威「ガノン」だけは同一人物のように描かれており、本作はその誕生の物語ということですので、シリーズの中でも古めの時系列に位置します。

 

ゲームシステム面の魅力もお伝えしないわけにはまいりません。少しネタバレになりますが、本作はタイトルにもなっている時のオカリナを使うことで、時間を行き来することができます。リンクが子ども時代大人時代を行き来してハイラルの危機に立ち向かう物語です。大人時代で解決できないことを子供時代に戻って対策を行なうことで時間改変が起きて大人時代で解決ができる…といったクロノトリガー』的な展開がくり広げられます。

 

ゲーム史の側面で本作の凄さを語るのならば、「本作はニンテンドウ64ゼルダ3作目くらいのクオリティを1作目で実現してしまった!」ところでしょう。

 

ポリゴンによるアクションRPGに問題点であるステージ構成の複雑さとユーザーに高い空間認識力を求める問題について。ほぼオートで対応してくれるジャンプ操作、心地よいオートカメラアングル、Zボタンロックオンによる視点固定など、「げっ、3Dアクションって私苦手なんだよねー」というプレーヤーに対して極力ストレスを与えない完成度の高いインターフェースの実現が、マジヤバイ(褒め言葉)のです。ポリゴンアクションゲームは、『時のオカリナ』以前・以後でまったく違うように、インターフェースのスタンダードを創り出したエポックメイキングな作品なのでした。

 

さらに凄いのがストーリー部分です。『ゼルダの伝説』はそもそもアクションに重きが置かれている作品ということもあり、ゲームとしてのストーリーはプレーヤーに委ねるところが大きい面がありました。しかも、当時のライバル機であるプレイステーションはムービー再生といった強みを持っており、ストーリーを語る作品が量産されていた時代です。そこに対して本作は、ムービーなどに頼ることなく、ドット時代のアクションゲームから磨かれた技法「プレイを通じてゲーム世界にシンクロさせつつ、ストーリーで魅せる」を実現させちまった作品なのです。

 

リンクの冒険はプレーヤーの冒険であり、リンクの物語はプレーヤーの物語。リンクを動かす楽しさでハイラルという世界に没入できるからこそ、数々の謎を自力で解き明かしたことも自分のこととして認識でき、そこまでのめり込める作品にストーリーがさらに面白いなんて。VR機器を使わないVR体験こそが『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の真骨頂だと、私は思うわけです。

 

だからこそ、本作は可能なかぎり攻略サイトを見ることなく、自力で謎解きを考えていくことをオススメします。だって魔法が解けてしまいますから。ヘッドホンをつけて、集中してプレイできる時間をつくったほうが楽しめるでしょう。

 

私は長年つづけてきた激務に疲れてボロボロでした。2018年の酷暑がトリガーになって体調を崩し、しかしその変化が肉体的なものに起因するものではなく、メンタル的なところにあるものと気が付いて、早めに労務に駆け込み、早期に休養というカタチを取ることとなったわけです。

 

ジョーンズくん、いつもつまらなそうな顔をしているね」

「お父さん、怖い顔をしている」

 

自分ではそんなつもりまったくなかったのですが、気がつくと仕事のことを考えており、それが表情に出ていたようです。実はリフレッシュが難しくなっていたのはずいぶん前から感じていて、映画を観ても、漫画を読んでも、ゲームをしても、以前のように楽しめなくなっていました。レトロゲームブログの新作記事の更新が滞っていたのもそれが原因の1つで、自分が本当に面白いと思えていないものを読者に伝えることが嫌だったからです。

 

そんな私ですが、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』と出会って救われました。

 

ソフトはずっと昔に購入していたのですが、最初の方までしかプレイしていなかったのです。それを今プレイしたのは、ちょっとした気まぐれでした。それでもプレイしていてハマリました。

 

「お父さん。ゲームしながら笑っている」

 

息子から言われて「ハッ」としました。そして、なんとなく、いままで靄がかかっていたようだった視界が、なんとなくクリアになってきていることに気が付いたのです。さび付いていた何かが、音を立てて、錆を落としながら動き始めた…そんな感覚を自分に対して持ったのでした。まあ変な話ですが(笑)。

 

今、私は『時のオカリナ』をつづけてプレイしています。ゲームって、新作のほうが面白いとは言えません。当然、旧作のほうが面白いとは言えないのも同じです。しかし、昔分からなかった面白さがある程度大人になってから分かる…というのはあると思います。小説や映画がそうであるように。プレーヤーの精神的な成長が理解の幅を広げていくというか。私にとって「今」は、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』と出会うべき最良のタイミングだったのでしょう。

 

とはいえ、他の方にだって楽しめる作品です。偏見を持つことなく、その身に委ねてみることで見られる景色もあります。

 

ゼルダの伝説 時のオカリナ』――20年という月日を経ても、すてきな冒険体験とゲームが楽しいという感動を与えてくれるステキな作品です。