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【レトロゲームの話】『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』は、天使がアバターをつくって天から地上を見下ろすゲームだった話。

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今週のお題「ゲームの思い出」

ドラゴンクエストIX 星空の守り人』は、「広大な世界を冒険できる楽しさ」を教えてくれた『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』の進化形であると同時に、アプローチがまったく逆方向のため、誤解を受けやすいという側面があるのは否めません。

 

ドラゴンクエストIX』は「この世界を遊びつくす」ことを目的に作られたRPGだったと私は解釈しています。


 

 

ドラゴンクエストVIII』 は、PS2のグラフィック能力をフルに活かして作られた「世界」によって、プレーヤーたちを「自分たちはこの世界にいる」と没入させてくれる作品でした。しかし、『ドラゴンクエストIX』は携帯ゲーム機であるニンテンドーDSでリリースされた作品。あの小さな画面で前作同様の没入感を得られません。

 

ではどうするのか。本作は真逆ともいえるアプローチをしました。キャラクターメイキング機能を強化して自分のアバターを世界に置くことで、天から見下ろす"神の視点"でのシンクロを狙っているのです。前作が地上にいる主人公たちと同じ目線であるのに対して、本作は上から見下ろす目線…。カンのいい人は気が付いたはず。だから、タイトルが『星空の守り人』。天使がアバターを作って地上の人間の1人として冒険するという設定と、プレーヤーがキャラクターメイキングしてゲームの中を冒険するという仕組みはリンクしており、世界への接触の仕方を『VIII』と変えてきました。

 

つまり何が言いたいかというと、「前作『VIII』と比べたゲームレビューは結構ハズレではないか」と、私は思っています。

 

もちろん、『VIII』はとても素晴らしい出来でしたので、「あの路線で続編を作ればよかった」という意見もあるでしょう。その一方で考えなければならないのは、あの時代、プレイステーション2では、ハード性能的に前作以上のことはできなかっただろうし、ネットワーク機能が標準装備となったプレイステーション3ではまだまだユーザーが少なすぎた時代だったということ。

 

より多くのユーザーを巻き込めるゲーム制作、ハードに搭載された機能を活かして新しい楽しさを提供できる可能性があったのは、ニンテンドーDSしかありませんでした。ゆえに、時代とゲームハード環境というタイミングの中で生まれたのが、『ドラゴンクエストIX』という作品だったのだと思います。もし、ドラゴンクエストが安定的な売上だけを考える臆病者なら本作は生まれなかったでしょう。前人未踏の挑戦をする勇者だったからこそ、DS版『ドラゴンクエストIX』は生まれたのだと言えます。

 

ドラゴンクエストIX』のすごいところは、破壊的イノベーションがハンパないというところです。「これまでのドラクエの伝統」というべきものを徹底的にぶっ壊しにかかっています。ちょっと大冒険しすぎかも。

 

しかしそこには、古くからつづくことによって、ファンが多いことによって生まれていたユーザーからの呪い、制作者側の呪い、「ドラゴンクエストとはかくあるべき」を、必死で取り払おうという姿勢があったように思えます。


蒸気機関車の登場、黒ギャル・サンディの起用、シンボルエンカウントの採用、新しい職業の登場、ファンタジーらしくない技の数々…。昔ながらのドラクエを愛でたい懐古主義者にとっては「うっ!」となってしまう大きな変化だったのかもしれません。しかし、新たな試みを常に投入しつづけ、失敗したら次回作で改善するということこそドラクエお家芸であり魅力。試されているのは、いつも私たちなのです。


そんな本作最大の特徴は、「メインストーリーがオマケである」ということでしょう。言い過ぎかもしれませんが(笑)。

 

それくらい本作はメインストーリーの存在感がありません。それは、「ラスボスを倒しても、世界を覆う闇の問題は解決しない」という世界設定と、「ラスボスを倒してからも遊べる内容が多い」という配信クエストの多さによるもの。

 

先に、『ドラゴンクエストIX』は「この世界を遊びつくす」ことを目的に作られたRPG、という話をしたと思います。まさに、本作の魅力はそこにあります。あまり他のゲームサイトで語られているのを見たことがないのですが、『ドラゴンクエストIX』の世界は謎に満ちあふれているのです。


世界樹」と「天使」という"守り人"が世界を構成する重要なキーなのは間違いありませんが、何を守るために存在しているかは明確に語られていません。ぼかされています。

 

一方で、世界各地の地下に、歴代シリーズラスボスもしくはラスボスを彷彿させる魔王たちが封印されています。竜王も、バラモスも、ゾーマも、エスタークも、デスピサロも、ミルドラースも、デスタムーアも。そして、シドーやダークドレアムに匹敵する異形の神々も、人類の脅威として少しずつ存在を明らかにしていきます。

 

そして世界各地に残された、まるでやがて訪れる大きな戦いに備えるための育成機関や奥義や秘法の数々、武器や防具など。そして、ネットワークを介して召喚される異界の強者たち(ゲームプレーヤーたち)。

 

まるで、あふれ出る闇の脅威をここで抑えるために作られた"最前線の世界"のようではないでしょうか。無数に存在する世界の中で、もっともはげしい戦いが予知されている世界とも考えられないでしょうか。そのように考えると、シリーズのどの作品にもない味が出てきます。


個人的には、本作最大の魅力はこの世界観だと感じています。クエスト配信やイベント開催など、リアルタイムでプレイするライブ感を重視する作風ゆえに、レトロゲームとして今どれだけ楽しく遊べるかは分かりませんのが残念なところ。本作の精神(コンセプト)は、スマホゲームアプリ『星のドラゴンクエスト』に引き継がれているのだと思いますが、そうなると一番リメイクがなさそうな作品ともいえるわけで、やっぱり少し寂しいですね。。。