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【レトロゲームの話】『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』は、プレイステーションで足取りも軽やかに…とはいかなかった受難が多かった話。

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今週のお題「ゲームの思い出」

ファミコン少年少女にRPGの面白さを伝えるために作られた『ドラゴンクエストI』~『ドラゴンクエストIII』の勇者ロトシリーズ。国産RPGの可能性を追求しつづけた『ドラゴンクエストIV』~『ドラゴンクエストVI』の天空シリーズ。そして、プラットフォームをプレイステーションに移し、メディアもCD-romに変わってドラゴンクエストも新しい時代に突入です。しかし…!

 

ドラゴンクエストVII』は、『V』以来の難産だったと推測されます。かなり手探りで作られた結果、発売当初、「時代遅れな作品」といった印象を持たれてしまいました。

 

 

 

 ここには複雑な事情があります。

1つは、家庭用ゲーム機の主力ハードがプレイステーションに移り、ムービーなどを多用した演出が派手な作品が増えてきたこと。

2つめは、ROMカセットからCD-ROMに移り変わったため、一度に抽出できるデータ容量の問題などにより新たな開発ノウハウが必要になったこと。

3つめは、前作から6年が経過しており、ユーザーがどんなドラクエを求めているかが読みにくかったこと。

 

特に、3つめが大きな問題だったのでは?と個人的には推測しています。結果として、ドラクエが選んだ道は、「映画ではなく、インタラクティブ性を重視」「やっていて楽しいゲーム」という、いつものドラクエを貫くということでした。

 

プレイステーションはポリゴンに強いゲームハードだったため、本作もポリゴンを多用した作りになりました。他のゲームが主人公キャラをポリゴン化していく中、本作は、キャラクターはドット表示のまま、世界のパースをポリゴン化することで、マップを回転させてこれまで見えなかった箇所も見えるように、より探索の幅が広がるような仕組みを取り入れました。それは、あたたかみのある絵が特徴であるドラクエらしさを無くさない、ドラクエらしい選択だったと思います。

 

が、ユーザーの評判はそんなによくありませんでした。

 

「石版が見つからない」。そう、本作は「石版のカケラを集めて台座にはめることで先に進める」という展開になるため、石版探しが重要です。マップ回転がその探索にひと役買うのですが、その動作や探索というプロセスが「面倒くさい」というユーザーが増えていたのです。

 

本作は、ゲームスタートから最初の戦闘まで約2時間、ずっとお使いをさせられます。実はこれにはちゃんと意味があって、「今回のドラクエは魔物がいない世界からはじまる物語であり、日常と非日常がポイントになる話なので、いつもちょっと違うよ」ということをユーザーに伝える狙いなのですが、これも不評でした。

 

また、牧歌的な日常パートと、魔物が蔓延る世界の悲惨さの色分けをきっちり分けた結果、全体的に暗いBGMと暗い話が多く、なんかヤダという意見も散見されることに。

 

ハッキリ言って、「石版集めが面倒くさい」なんていうアホはそもそもドラクエなんかやらなくて結構…というか石版集める気がないのになにドラクエ7やってんねんと私は思いますし。ゲームスタートから最初の戦闘まで約2時間ずっとお使いをさせられることを「おいおい、今度のドラクエはちょっと違うぞ、なかなかゲームがはじまらないぞ、おい」と楽しめないアホがそもそもドラクエなんかに手を出すんじゃねえよとか私くらいのベテランになると思ってしまうわけですが、たぶん、少数派なのでしょう。

 

誤解のないように伝えておきますが、

 

ドラゴンクエストVII』はとても丁寧に作られている作品ですし、遊んでいても楽しいです。きちんと遊べば本作の魅力は分かります。が、「どういうゲームなのか」をプレーヤーに分かりやすく伝えるコミュニケーションが丁寧だったかというとそんなことはなく、それによって誤解が生じてしまった作品ではある、と感じています。

 

初のシナリオ分業制といった開発体制の変化もあり、全体の指揮をとっていた堀井雄二さんも完成品のユーザーの見えかたが見極めきれなかったのかもしれません。

 

では、『ドラゴンクエストVII』は駄作なのかといえば、そんなことはありません。むしろ、かなりの挑戦作であり、「分かる人には分かる!」かなりいい作品です。


ドラゴンクエストVII』は、本当にユーザーとのコミュニケーションが下手で。これは往年のファンである私もため息しか出ないのですが。キャッチコピーの「人は、誰かになれる」が、まったくユーザーに伝わっていません。このキャッチコピーを「RPGとはこういうことさ」と解釈するのは間違い。そんなダサいキャッチコピーじゃないんだよ。これは本作のキモ、一番アツイ部分のことを指しているんです。

 

本作の主人公は、ただの少年なんです。絵本に出てくる冒険に憧れるただの漁師の息子なんです。アニキ分の友達に誘われて、いつもと違う一歩を踏み出した結果、「大魔王を倒すような勇者にまでなっちゃった物語」が『ドラゴンクエストVII』って物語なんですよ。それは、主人公がずっと憧れていた絵本の中にしかいなかった勇者になれたということであり、それは画面のこちら側でフツウの生活をしている僕たちへの応援メッセージでもあるわけで。

 

「何も変わらない毎日ってお前はいうけどさ。何もしなかったら、何も変わらないのは当たり前じゃないのか。何かになりたかったら、いつまでも心地よいエデンにはいられない。お前だって、本当は分かっているんだろ?」

 

そんなキーファの叱咤激励が聞こえてきそうな作品が、『ドラゴンクエストVII』なんですよ。

 

幸か不幸か、かつて魔物によって封印された世界を、主人公たちが解放したことによって、時間改変が発生し、封印された事実が消され、封印されなかった歴史に書き換えられていく。それによって、世界は徐々に物語の世界に侵食されていき、魔物が跋扈する危険な世界へエデンは侵食されていく。それは、グリフィスが受肉したことで世界が変わっていく『ベルセルク』と似たような展開であり、それがドラクエで行なわれていくなんて、まったなし全シリーズの中で一番面白いのではないでしょうか。

 

リメイク版の3DS版は、「本作がどんな作品なのか」をよりユーザーに分かりやすく伝える出来になっているので、ぜひプレイしていただきたいと思います。