ほぼ日刊レトロゲームレイダース

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【こわい話】その昔、修学旅行で使ったホテルが「出る」と有名なところだったらしく、結構とんでもない思いをしたでござるの話。

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今週のお題「修学旅行の思い出」 

これは、中学生の修学旅行のときの話です。とはいえ、学習塾主催のものの話なので、厳密にはお題とは違うかもしれません。私が通っていた塾は進学向けだったので、修学旅行とは名ばかりで、実際は山奥のホテルに夏休みに1週間ほど監禁されて、ひたすら勉強ばかりやらされる強化合宿でした。

 

とはいえ、上半身も下半身も元気な中学生。同じ年の女の子たちといっしょの共同生活がはじまるわけですから、楽しい合宿になるはず…だったのですが。

 

 

 

「オレ、昨日の夜、変な夢を見たんだよ」

同じ部屋の同級生タナベくんが、大広間での朝食時にそんなことを言い始めました。

 

ちなみに、この合宿では同じ学習塾の各校合同で行われるもので、1つの部屋には同じ教室の者も別の教室の者もシャッフルの編成。1部屋6~7名の割り振りなのですが、初めて会った生徒とも同じ部屋なのが珍しくなく、タナベくんとも初日に知り合ったばかりでした。そんなタナベくんは夢の話をヒソヒソとし始めます。

 

夜中、タナベくんはふと目が覚めたそうです。すると部屋が少し明るい気がしました。明るいほうを見ると、そこは玄関に通じる襖の手前。そこに誰かが後ろ向きで腰をかがめて座っている。耳をすませてみると、チュウ、チュウ…と何かエロい音がする。もっとよく見てみようとすると、その誰かはそこに寝ている生徒の布団をすり抜けて座っており、暗闇でも姿が見えているのは明らかにおかしい。ヤバイものを見た。そう思ってタナベくんは見なかったことにして寝てしまったそうな。

 

この話をタナベくんは夢の話としてルームメイトである私たちに語ったのでした。私たちの脳裏に浮かんだのは、その該当する襖の前で寝ていたカジワラくんのことです。彼は今朝になって急に調子が悪くなり、病院に運ばれていました。

 

結局、カジワラくんはそのままお父さんが迎えに来て帰っていきました。私と一緒に女風呂をのぞこう!と息巻いていたカジワラくんの無念を考えるといたたまれません。私は彼の分まで青春を満喫しようと、夜の自由時間は積極的に女子の部屋に遊びに行き、お風呂上がりのいい匂いを嗅ぎながら、UNOを興じて女子の間でも楽しいキャラのブランディングに成功していました。先生の見回りがありましたが、MSXの『メタルギア』と『ソリッドスネーク』をやり込んだ私に死角なし。素人の見回りなど屁でもありません。FOXの称号は伊達ではありません。

 

部屋に戻ると、豪傑と名高いサタケくんが襖の前の布団にいました。「みんな幽霊とか騒いでいるけど、俺が確かめてやる」。昨晩の目撃者タナベくんは「やめたほうがいいよ」と言っていましたが、豪傑はガハハ…と笑うばかり。消灯後、すぐにいびきをかき始めました。

 

翌朝、サタケくんは体調不良を訴えました。「しばらく寝ていれば調子を取り戻すと思うから寝かせてくれ」と布団に突っ伏してしまったのです。先生から特別の許可を得て、サタケくん抜きの朝食が始まりました。「オレ、昨日も聞いちゃったんだ」。焼じ鮭を箸でつつきながらタナベくんが言うには、昨日も白い影があらわれて、サタケくんに対して、チュク、チュク…とエロい音を立てていたそう。

 

「これはいよいよ稲川淳二っぽい展開だぜ」と思った私は、朝食を早々に済ませて部屋に戻り、サタケくんに昨夜何があったのかを聞いてみました。

 

サタケくんは答えました。「俺は昨日、すごい体験をした」。タナベくんの話から推測するに、その場所には何かしらの霊現象が発生している疑いがあり、サタケくんは何かしらの霊障を受けている可能性がある。私は彼の身を案じ、布団の場所を変えてみる提案をしました。しかし返答は「ゼッタイに譲らない」。その瞳にある種の熱っぽさがあることは私は見逃しませんでした。

 

そこで私は確信に至ります。

「コイツ、絶対何かエロい霊体験をしている!」と。

 

私は彼の身を案じているフリをして(今夜は俺に替われ)と打診するのですが、彼は「昨夜も何もなかったし、みんなに迷惑かけるから」というよく分からない理由で(ゼッタイに譲らない)と頑固。

 

ちくしょう。まあいい。合宿はまだまだあるんだ。そのうちこっちにチャンスが回ってくるだろう。焦りは禁物だ。この事実に気が付いているのは、サタケと私のみ。とりあえず他のヤツらに知られないようにしなくては。私は冷静であろうと努めました。

 

このとき、私の脳裏を支配していたのは、地元のコンビニ『サン・エブリィ』に置いてあった謎の文庫本『淫霊に犯された夜』に書かれていた体験談。エロい霊とエロいことをするとスゲェ気持ちがいいという。マクドナルドもないウチの地元では淫霊との遭遇など一生のぞめないと思っていましたが、ここならチャンスあり。精を取られるというリスクはあるが、なあに、こっちは多感な中学生。ちょっとやそっと吸い取られたぐらいで落ちはせぬ。むしろ、セクセクス的な超常体験が0円というほうが大事じゃわい。このときの私は、完全に脳みそから受験勉強という単語が抜け落ちていました。

 

その夜も女子の部屋に遊びに行った私。しかし、サタケが独占していると思われる淫霊のことが気になって気になって仕方がありません。お風呂上がりの女子たちと遊ぶのは楽しかったのですが、シゲキが足りなく感じ始めていました。その夜は、先生の抜き打ち部屋検査の際に、女子の布団の中に隠れてやり過ごすという、赤松健先生のマンガにありそうなイベントが発生。私はすっかりサタケよりも精神的な優位に立った気がして、部屋に戻った後もぐっすり寝ることができたのです。

 

翌朝。

サタケの顔は緩みきっており、もう隠す気がほとんどないようでした。はた目から見ても憔悴しきっているのですが、いつもニヤニヤしている状態。人のいいタナベくんたちは、純粋に豪傑サタケの変わりようを心配していましたが、私には彼のニヤニヤが「俺はお前たちの知らない本当の快楽を知っている」という優越感にしか見えず、ぐぬぬ…」としか思えませんでした。

 

たしか4日目か5日目の夜のことです。「男子の部屋も見てみたーい」という偏差値67女子たちの希望により女子を私たちの男子部屋に招くことになりました。これは、毎晩女子の部屋に行って関係性を築いてきた私の交渉力によるもの。部屋の男子たちからは「グッジョブ」「ジオン十字勲章ものだ」と褒め称えられました。そして、いよいよ女子たちが「こんにちわー」と遊びに来たのですが、

 

「何これ!?不潔!!」

 

1人の女子が部屋に入るなり叫び出し、すぐ部屋を飛び出していきました。仲間の女子の1人が慌てて追っていきます。私も追いかけました。叫んで部屋を飛び出した女子の名前をレイコさん、追いかけた女子の名前をミチルさんとします。

 

2人は廊下の先にある女子トイレの前にいました。「大丈夫?」と声をかけると、肩で息をしているレイコさんに代わって、ミチルさんが答えます。「ごめんね。この子、視えるタイプらしくて」。この手の会話で視えるタイプとは霊が視えると相場が決まっています。

 

どうやらレイコさんは部屋に入るなり、何か霊的なモノを見てしまった、もしくは触れてしまったとのこと。しかし、それがどういうものなのか説明できるほどレイコさんもよく分かる体質ではないようで、生理的な嫌悪感が先に走ってしまい、何に拒絶反応したのか、自分でもよく理解はしていないという話でした。

 

ミチルさんは言います。「この子が視えるのは本当だから。ジョーンズくんたちの部屋、何か良くないものがいるみたい。何か変なことはない?」。なんということでしょう。ここに来て霊感少女が現れて、あの部屋で起きていることが霊的な何かであるということが証明されてしまいました。もう間違いありません。

 

ジョーンズくん、あの部屋に戻ったら危ないよ」。ミチルさんは私の手を取って止めました。でも私は答えます。「ありがとう。でも悔しいけど、僕は男なんだな…」。このときの私の脳裏を占めていたのは、レンタルビデオ屋で見たアダルトアニメ『淫獣学園 ラ・ブルーガール』のめくるめく世界。俺たちの部屋にはそれがある!何が何でもサタケからあの場所を奪わなければ…。

 

ところが!

 

サタケは最終前夜まで例(霊)の場所をディフェンスしつづけ、最終日朝のラジオ体操の最中に倒れて、先生と一緒に病院に行くこととなりました。彼は自分が発見した淫霊体験を独り占めしきったのです。

 

彼が置いていった荷物は、ルームメイトである私たちが代わりに片づけることに。ところがズシリ…。彼のバッグが思った以上に重かったのです。おかしいぞ。何か予感があった私は、彼のバッグを開けました。ルームメイトたちもバッグの中身を見て、「うわっ!」と声を上げてしまいました。

 

なんとそこには…。

 

20本近いマムシドリンクの空瓶、そして未使用のコンドームが30個くらい、なぜか新品のピンクローダーも入っていたのです。

 

サタケが最終日まで持ちこたえることができた理由が、なんとなくわかった気がします。合宿先であるこのホテルは、中学生の足で下山できないような山奥にあるため、このマムシドリンクなどは彼が家から持ってきたのは間違いありません。しかし、一体、何のために?

 

「アイツ…、合宿中に女子とヤる気満々だったんだな…」

誰かがしみじみと言いました。

 

「でも、さすがに、これは量が多すぎじゃね?」

たしかに、たしかに。 

 

「サタケ、ベラボーマンかよ」

超絶倫人ということで、これにみんなで大笑いしました。

 

しかし、

 

よくよく考えてみると、彼のこの準備ぶりは彼の性欲の強さを象徴しているようでもあり、私などが女子部屋にカンタンに侵入できるガバガバの管理体制のこの合宿。彼がヘンなものにのめり込まなければ、合宿に参加している女子の誰かが、彼の性欲の被害に遭っていたかもしれません。そう思うと、このサタケくんのバッグの中身は、ちょっと怖いモノにも見えたの事実です。

 

結局、私たちの部屋にいたものが何なのか。カジワラくんやサタケは一体何を体験したのか。もともと教室が別々だった私たちは、合宿後、もとの教室に戻ったため、二度と会うこともなく、真実は分かりません。

 

ただ、合宿の最後にホテルの駐車場で撮影された全体集合写真。3枚撮ったうちの1枚は心霊写真でした。仲のいい先生から特別に見せてもらったのですが、私たちの部屋の窓に、白い影(人のようにも見えるもの)がはっきりと。ゾッとしました。

 

月日が流れ、

 

大人になってから、私は心霊体験などの話を集めている人たちのサークルに所属することに。そのときの知り合いの中に、怪談蒐集と廃墟写真撮影を趣味にしている人がおり、その人から例のホテルが随分前に廃業になったことを知りました。霊が出るのは結構有名だったそうで、「ほぼ確実に出る」とまで言われていたとか。

 

ただ、出るといわれているは、おっさんの霊という話でした。

 

 

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