ほぼ日刊レトロゲームレイダース

レトロゲームについて、ほっこり&もっこりする思い出話と雑談多め



【レトロゲームの話】 『FF SHOP』と、1980年代の代々木という町と、中学生のオレ物語。

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ネットであまり『FF SHOP(エフエフショップ)』のことを書いている記事を見ないので、備忘録として書いておこうと思いました。

 

1989~1990年のごく短い期間(記憶が曖昧なのですが)だけ、東京都代々木駅前のビルの2Fに、ファイナルファンタジー関連グッズを集めたショップをスクウェア(現スクウェア・エニックス)が運営しており、その店名が『FF SHOP(エフエフショップ)』だったのです。

 

 

代々木駅周辺は、1980年代に比べると今は面影がなくもないけどやっぱり別の町というくらい今は変わってしまいました。実はよく使っているんですよ。代々木駅周辺は新宿と違って人があまり多くいないので、飲み会を開くときなんかは重宝するのです。代々木の『温野菜』にはよく出没しています。

 

そんな代々木駅に私がはじめて降り立ったのは、中学生の頃でした。その頃の代々木というと、代々木ゼミナールと、代々木アニメーション学院くらいしかない町。他にもオフィスとかはあったのですが、今のように飲食店もほとんどない、山手線の中でも少しマイナーな駅だったと記憶しています。

 

駅前には駐輪場があり、その通りの並びにインベーダーハウスの名残あふれるゲームセンターがあったような…。逆方向に駅前の五又路があり、その近くにある吉川代々木ビル(だったと思うのですが)の2Fの奥に、『FF SHOP(エフエフショップ)』はありました。

 

ショップといっても正直売る気があるのかというレベルのもの。当時は物販なんて今よりも全然貧弱だったので、ショップなのに売るものがほとんどないんですよ。置いてあったのは、攻略本、ゲーム雑誌、FF2の小説、サウンドトラック、天野喜孝さんの画集、そして文房具とかのグッズのみ。

 

ただ、店内はFFのイメージカラーである白を基調としており、壁には天野喜孝さんがFFのために描いたイラストがいくつも展示されており、一部、TVCMなどで使われた剣のレプリカなども展示。FF1とFF2のカップリングサウンドトラックがBGMとして流れていたと記憶しています。

 

店員は、やる気のない大学生のアルバイトみたいな人で、来店するお客さんなんかほったらかしで、持ちこんでいたTVでひたすらゲームをやっていました。どうやらファミコンのゲームらしいのですが、聞いたことがないBGMです。カウンターの端から見てみると、なんとそれは、開発途中の『ファイナルファンタジーIII』でした。

 

「すげー」と思ってみていると、店員さんもこちらの視線に気が付いたようで、「興味ある?」と聞いてきました。大きくうなづいたのは言うまでもありません。そのとき、店内は店員さんと私しかいませんでした。「本当は見せちゃいけないんだけど…」と言いながら、店員さんは画面を私に見せながら説明をしてくれます。

 

舞台はどうやら洞窟の中のようです。「どうして洞窟にいるんですか?」「それはね、ちょっといろいろあって、この洞窟の奥に行かないといけなんだ」「へえ!」 今考えると何の説明にもなっていない店員さんの話のはぐらかしテクニックは見事なのですが、当時の私は素直に感動しました。

 

洞窟の奥に入っていくと、いきなりのフラッシュ音。そして現れる大型モンスター、ランドタートル! 「ええっ、こんなの勝てないんじゃないですか?」「ふふん、どうだろうねぇ」 店員さんはたまねぎ剣士たちを操っていろいろ攻撃しますが、どうも決定打にかける感じ。やべえぞ、勝てねえぞ。そう思っていると、突然、アイテムから南極の風を使い出し、大ダメージ!そのままランドタートルはゴゴゴ…と崩壊していったのでした。

 

そしてクリスタルの啓示を受ける4人。画面が暗くなり、そこから音楽は一転して…ブツッ。店員さんがモニターを消しました。「ここから大変なことが起きるから、続きは買って見てね」、だって。

 

私が見たのは、『ファイナルファンタジーIII』のオープニング部分。地割れによってダンジョンに落ちてしまった4人組が、風のクリスタルに導かれるように奥に進み、光の4戦士としての資格を得ていくくだり。もの悲しくも美しい『III』バージョンのファイナルファンタジーのテーマが流れるオープニングは、今見てもグッとします。店員さんはその寸前までを見せてくれたのでした。

 

あの頃、パソコンゲームメーカーはユーザーとのコミュニティづくりに力を入れており、ファンクラブがあったり、会報誌が出ていたりしました。今にして思うと、『FF SHOP(エフエフショップ)』はユーザーとの接点を持とうとしていたスクウェアの実験的取り組みだったのかもしれません。スクウェアはパソコンゲーム出身ですからね。

 

店員さんとの本当にささいなふれ合いは、私の中で将来ゲームメーカーに就職した時のイメージを固める貴重な機会となったわけです。

 

そんな『FF SHOP(エフエフショップ)』ですが、すぐに閉店してしまい、その後に『ファルコムショップ』が移転してきました。そのお店についての思い出もいろいろあるのですが、それはまた別の機会に。